「筋肉をしっかり刺激するには、一つひとつの動作を丁寧に、ゆっくり行うことが何より大事です。一見、楽にできそうな動作も、ゆっくりやれば、負荷がかかって結構キツい。この“ゆっくり”の最適な目安が、4秒なのです」
スクワットなら、しゃがんだときに一瞬止まり、立ち上がるときにも反動は使わない。また立ち上がったときには膝を伸ばし切らず、太ももに力が入った状態を維持する。力を抜け切らないように気を付けるだけで、一つひとつの動作にかかる負荷が増し、筋肉をしっかりと刺激することができる。
「反動を使えば、何回でも楽にできますが、それではあまり効果がない。鍛えている筋肉を意識して、一つひとつの動作をじっくり、力を抜かずに行うだけで、ぐっと効果が増します」
1日の目安は、各動作を10回×2セット。朝と夜に分けても、まとめてもいい。体力に自信がない人は、負担が軽めの「膝上げ」「手足伸ばし」から取り入れてみるのも手だ。これなら熱中症の心配もない。
「1カ月続ければ、おなか周りが2〜3センチ減り、徐々に体重が落ちてきます。1千人を超える中年男女を対象にした研究では、標準体形の人も含め、平均2.5センチ減りました」
生活習慣病の予防には、ウォーキングに代表される有酸素運動が良いとされていたが、最近では病院でも運動療法の一環として、筋トレが積極的に推奨されるようになってきた。筋トレには、ダイエット効果を始め、血糖値やコレステロール値を下げる、内臓脂肪を減らす、膝痛改善、つまずきにくくなり階段の上り下りが楽になるなど、多くの効果が実証されている。
「実はウォーキングだけでは、筋肉は減ってしまう。歩くことは脂肪燃焼には良い手段ですが、筋肉を維持、強化するという点では弱い。筋トレとウォーキングの併用がベストですが、どちらかなら、短期間で効果の出やすい筋トレから始めることをおすすめします」
年齢とともに体力の衰えを感じている人でも大丈夫。都竹さんが2005年に実施した研究では、平均年齢72歳の女性15人を対象に、1年間、4秒筋トレを続けてもらった。その結果、筋トレを始める前と比べて、平均で約4%の筋肉が増加。84歳でも、筋肉の厚みが増したという。