妻:私はそんなに落ち込んでるって知らなかった。吉田さんはもともとあんまりしゃべらないタイプで、何考えてるかわからないところあるから。
夫:ただ、付き合い始めても、いつダメになるかわからないから、半年ぐらいは極秘にしていましたね。
――妻の明るさで人生の重荷が減った。
妻:お互いの離婚のことは、あまり話さなかったよね。
夫:原因が複雑で、ひと言では説明できないとわかっていたから。元結婚相手の悪口を言うこともお互いなかったし。ただ助けられたことはいろいろありました。例えば、山梨に買った別荘が、荒れ放題になっていて気が重かったんですけど、そこを売却する算段をしてくれたり、伊藤の実家が近くてご両親が車を出してくれて、片付けを手伝ってもらったり。
妻:私は単に、そんなに別荘が重荷だったら売ればいいじゃんって。
夫:そこはやっぱり他人だから、僕の過去の問題はバサバサと切り捨てる(笑)。そういう思い切りのいいところはあるよね。人生の重荷みたいなものが、伊藤と一緒になってガサッと減りました。
――付き合い始めのころに、妻は「一緒になったほうが有利だと思う」と夫に迫ったという。そこから結婚に踏み切った背景には、お互いの育った環境が似ていたこともあった。
妻:一緒になったら面白いと思ったから。「同業者のブスと結婚したほうが絶対ウケるし、株があがるよ!」と、必死で説得しました。
夫:ずいぶん戦略的だなと思いましたね。
妻:それに当時私は37歳で、子どもを産みたいと思っていたので、相手が吉田さんだったら楽しそう!と鼻息フンフン言わせてた(笑)。多分、それは吉田さんも感じ取っていて、しょうがねえなぁと。別れるか、結婚するつもりで付き合うか、どちらか選ぶとしたら面白いほう、みたいな感じだったんじゃないかと。
夫:まあ、そうかもね。独身のまま、女性と付き合ったり別れたりするのも面倒くさくて、そろそろ身を固めるのも大事かなと。