妻:どんな漫画を描いていても、基本淡々と変わらない。すごいマジメな顔してギャグ考えてるよね。
夫:そりゃあねえ(笑)。
――91年、妻は夫のアドバイスを受けてギャグ漫画家としてデビュー。連載を持ち、忙しい日々を送るが、7年後に状況は一変する。
妻:しりさんが急に「子どもがほしい」と言いだした。
夫:いたほうがいいんじゃないかな、って。
妻:それまでは自然にできなかったらそれでもいいかと思っていたんですけどね。子どもを持つとなったら責任も大きい。「覚悟決めなきゃ!」と思いました。
――妻は98年に長女を、2002年に長男を出産。以後は仕事よりも子育てが優先になっていく。
妻:私、二つのことを一緒にできないんです。ひとつに没入しちゃうので。
夫:PTAも任せっぱなしで、すみません。
妻:昔は「もっと仕事に専念したい……」とキリキリしたこともありました。でもだんだんスキルアップしてくるものなんですね。育児をしながら描いたり。
夫:俺が家にいても散らかすだけだし。
妻:でも私が単行本の仕事をしてるとき、子どもを連れてスペインに行っちゃったことがあったよね。
夫:あれはせめて協力しようと。一人で漫画を描かせてあげようと……。
妻:家で仕事しながら「悲し~!」って(笑)。まあ、ご飯作らなくてよかったから、いいのかなあ?
夫:そうそう。
妻:なんか騙されてる気がする(笑)。
――夫は02年から朝日新聞夕刊で4コマ漫画の連載をスタート。3.11以降は原発など社会問題について、より積極的に発信しているように感じるが──。
夫:いや、昔から時事的な感じは意識していたんです。「作品に時代を映したい」というイメージはずっとあって。一本の巨樹によって東京が崩壊する『ジャカランダ』でも「このままじゃダメじゃないか」ということを描いてきたし、『ゲロゲロブースカ』は「これからの世界に子どもを残したい」という思いで描いた。