一方、工学系資格試験では、早大にはるかに分がある。1級建築士、技術士で慶大を大きく引き離す。

 数値化できない教育内容や学生気質で早慶対決させるのはむずかしい。それでも、気付くことはある。

 少子高齢化の波は私大両雄にも襲いかかる。早慶は大学改革を進めるため、1990年以降、それぞれ新しい学部を立ち上げた。

 慶大は90年に湘南藤沢キャンパス(SFC)を構え、総合政策、環境情報の2学部を開設。ITとグローバル教育で高い評価を得た。早大は2004年に設置した国際教養学部が学部改革の象徴的存在。すべて英語による授業が大きな特徴となっている。

 最近、慶大SFCが改めて注目される出来事があった。今年度初実施の東大推薦入試だ。SFCのAO入試に強い「AO義塾」から、同推薦入試の合格者が多く出た。慶大OBの主宰者は、特異な才能を測る「推薦入試」までも受験マニュアル化した起業家だ。慶大にはこうした新ビジネスを探る学生が少なからずいる。

 就職では慶大に強みがあるように見えるが、実は外資系企業への内定者数の伸びは早大に勢いがある。留学生派遣、留学生受け入れ、外国人教員のすべての数でも早大は圧勝している。これは国際教養学部の存在が大きい。同学部が“早大逆襲”のきっかけとなるかもしれない。

 女性ファッション誌の読者モデル登場回数は、早大が慶大を抜き、全国トップになった(4月刊の「大学ランキング2017」から)。大学選びで現在は慶大がやや優位に見えるが、大学の雰囲気をつくるのは学生自身だ。案外、こんなところから、傾向も変化していくのかもしれない。

週刊朝日 2016年4月1日号より抜粋

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