入浴中の事故が多いワースト3県は、寒い北国ではなく…(写真はイメージ)
入浴中の事故が多いワースト3県は、寒い北国ではなく…(写真はイメージ)
この記事の写真をすべて見る
都道府県別ランキング:地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 報道発表資料より
都道府県別ランキング:地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 報道発表資料より

 熱い湯に浸かって冷えた体を温め、ほっと一息──。冬の楽しみの一つでもある入浴。だが、高齢者や病気を抱える人にとっては、急激な寒暖の差が体調不良(ヒートショック)を引き起こし、命の一大事になりかねない。どう予防したらいいのか。

「ヒートショックが問題となっているのは世界でも日本ぐらい」(東京都健康長寿医療センター研究所元副所長の高橋龍太郎さん)だという。そこには、“風呂好きの国民”といった問題では片付かない、深刻な事情がある。日本の家屋はヒートショックを起こしやすいのだ。

 住居の温熱環境が健康などに及ぼす影響を研究する福岡女子大学国際文理学部教授の大中忠勝さんは言う。

「特に高齢者が住んでおられる古い戸建て住宅が問題です。もともと断熱対策があまりできておらず、暖まりにくい構造になっている上、風呂やトイレなどの水回りが家の中心から遠くにある。暖房が入ったリビングと水回りとの温度差が生じやすいのです」

 高橋さんらが2014年に発表した報告によると、入浴中の事故が多いワースト3は香川県、兵庫県、滋賀県で、いずれも寒さが厳しい北国ではない。北海道は沖縄県に次いで事故が少なかった。

「気候よりも住宅の防寒対策のほうが重要。ですから、家をリフォームして断熱効果を高めるのが確実です。しかし、それが費用的な理由でむずかしいのであれば、やはりリスクが高い脱衣所や風呂場の対策をしっかりとっておく必要があります」(大中さん)

 危険なヒートショックから身を守るため、どう対策を講じたらいいのか。

 まず、脱衣所や浴室、トイレへの暖房器具の設置だが、火事になりにくいハロゲンヒーターなどがお勧めだ。脱衣所が暖まりにくい場合は、浴室の洗い場で着替えてもいいだろう。

次のページ