東京大学入学式で記念撮影をする学生たち (c)朝日新聞社 @@写禁
東京大学入学式で記念撮影をする学生たち (c)朝日新聞社 @@写禁

 日本武道館で4月11日、東京大学の入学式が行われた。最難関を突破した彼らの受験勉強を支えたのは塾と通信教育だ。本誌では今年の東大新入生124人にアンケートを実施した結果、そのうち8割近くが塾などを利用していた。河合塾、東進ハイスクール、駿台予備学校など全国展開の大手予備校が目立つなか、注目は11人が通っていたと答えた鉄緑会だ。

 一般的な知名度はないものの、東大進学にかけては群を抜く「エリート塾」だ。教室は、東京と大阪の二つだけ。開成、桜蔭、灘など超進学校の生徒御用達で、中1から高3までが通う。

 今春の東大合格者数は東京校が265人、大阪校が62人、計327人(4月17日現在)と新入生の約1割を占める。理IIIは定員100人のうち47人が鉄緑会出身という驚異的な実績をたたき出した。

「同じ目標を持った成績トップ層が集まり、よきライバルに恵まれた環境です。競い合い、助け合いながら学び続けることができます」(同会の吉村秀和講師)

 勉強好きな新入生たちは、幼いころから習い事にも慣れている。

 アンケートで「小学校時代の習い事」を聞くと9割以上が習い事をしていたと回答。いちばん多かったのが水泳(64人)、次いでピアノ(45人)。

 高校時代の部活動は8割ほどが参加し、男子は運動部の割合が高い。高2までに引退している生徒も多かったが、高3の夏まで野球を続けて文IIIに現役合格するといった、文武両道を貫いてきた生徒も多い。「東大=ガリ勉」というわけではないようだ。

 今回、アンケートに答えてくれた新入生は、1992年から95年生まれだ。全国の公立小学校で学校週5日制が導入されたのが92年。いわゆる「ゆとり教育」の中、放課後や余暇にたっぷりと体を動かしたり、机に向かう以外のことで時間を過ごしてきたのだろう。

 幼児期の遊びに詳しい白梅学園大の汐見稔幸(としゆき)学長(教育学)は、「幼少期から机に向かわせてどんどん詰め込んでも、人の能力は伸びません。運動も遊びもめいっぱいさせることが大切だと気付いていた家庭が成功しているということでしょう」。

週刊朝日  2014年5月2日号より抜粋