女性ホルモンが減少することでさまざまな症状を引き起こす「更年期障害」。妻の不調を解消するには、夫のサポートや理解が欠かせない。半面、夫の無理解や無関心は、不調を悪化させることにもつながりかねない。飯田橋レディースクリニック院長岡野浩哉医師はこう解説する。
「女性ホルモンはストレスに耐える力を高める働きがあるため、更年期で女性ホルモンが減ると、情動がうまくコントロールできなくなります。夫は『今までと同じように接しているのになぜ妻は怒るのか』と感じますが、それはストレス耐性が弱まった証拠。夫婦間では、夫の理解がないと、妻の精神面での症状は重くなりやすく、症状がこじれることもあります」
妻をサポートする第一歩は、まず、妻の不調に気付くことだ。いつも一緒にいる妻の異変を見過ごすことはないと考える男性は多いだろう。しかし現実には、妻の不調に気付かない夫は少なくないという。
「夫が会社で役がついて仕事が忙しくなるタイミングと、妻の更年期が重なることが多い。つまり、夫婦の接触が少なくなっている時期なので、夫が不調を見過ごしてしまうこともあるのです」(東京女子医科大学附属女性生涯健康センター所長の加茂登志子医師)
不調のサインを見逃さないためには、妻の日常の変化に目を配ることだ。加茂医師によると、今までできていた家事ができなくなったり、外出を嫌がったりするなど、億劫になっていたら要注意。足腰が痛いとマッサージに行きたがるのも特徴だ。また、性的に消極的になる傾向もあるという。
では、不調に気付いたら、どう対処したらいいのか。まずは「大丈夫?」「どうしたの?」と声をかけることが大切だ。妻が家事を担っている場合は、家事の負担を軽減させられるような提案をするのがいい。神奈川県立汐見台病院産科副科長の早乙女智子医師はこうアドバイスする。
「『掃除はほこりがたまってからでいいよ』『料理を作るのが大変なら週末は外食にしよう』と言うだけで、負担は軽くなります。つらくて横になっている妻に『これから出かけるから、ついでに帰りになにか買ってこようか』と言えたら100点ですね」
ただ声をかけるだけでなく、実際に行動を起こすことも必要だ。とはいえ、夫に家事の経験が少ない場合、何をしたらいいかわからないこともあるだろう。それならば、妻に具体的に開いてみるといい。
「女性は比較的、男性に具体的に仕事を指示することに慣れていない傾向があります。男性は、自分に何をしてほしいかを、直接妻に聞いてみることです」(早乙女医師)
※週刊朝日 2013年11月8日号