留学必須ではない大学は、意外にも1位の関西外国語大である。関西外国語大は外国語、英語キャリア、英語国際の3学部構成で長年2位を大きく離しランキング1位が続いている。多彩な留学プログラムをそろえているほか、手厚い給付型奨学金で学生の留学をサポートしているが、同大学関係者は「留学は強制するものではなく、自発的に行うもの」と話している。

 なお、留学必須の学部は、他の文系学部よりも初年度納付金が高い傾向にある。ネイティブスピーカーによる教育、そして留学に関連する経費がかかるからだろう。

 たとえば、早稲田大文系学部(政治経済、法、商、文、教育<文系>、社会科学、文化構想)は120万円台までにおさまっているが、国際教養学部は159万3000円となっている。

 関西大の文系学部(法、文、経済、商、社会、政策創造)は120万円台だが、外国語学部は154万3000円である。

 千葉大は2020年度の入学者から学生全員が留学必須となったが、これに合わせて授業料も値上げした。これまでの年額53万5800円から64万2960円に改定される。これは留学費用を捻出するためだ。

「大学によると、値上げで得られる自主財源は、来年度は3億9千万円、2025年度には13億6千万円になる見込みで、すべて留学支援の教材開発や教員確保にあてる。会見した徳久剛史学長は『経費節減や自主財源の捻出に努めたが、どうしても新たな財源の確保が不可欠になった』と理由を説明した」(朝日新聞2019年6月8日)

 大学のグローバル化が進むなか、留学必須の大学、学部はこれからも増えるだろう。しかし、それに伴って学費値上げが行われることについて、受験生、保護者はどう受け止めるだろうか。千葉大では一部の学生が「学費値上げならば留学反対」と声をあげている。

 高等教育無償化の議論がなされるなか、「留学必須のところは学費が高い」と受験生から敬遠されては元も子もない。海外留学向けの奨学金を充実させるなど、大学にはグローバル化に対応できる学生支援制度が求められるだろう。

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫

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