令和となり、GW中には御朱印をいただくのに数時間待ちの神社も出るという状態が続いていたようだが、5月の東京はまだまだ神社から目が離せない日が続く。すでに府中の武蔵国総社・大國魂神社のくらやみ祭は終わってしまったが、今週は神田祭(5/9~15)が始まっているし、来週は浅草の三社祭(5/16~19)、月末は新宿・花園神社の例大祭(5/25~27)、湯島の天神まつり(5/25・26)と大きなお祭りが目白押しだ。
■江戸三大祭りのひとつ、神田祭
なかでも5月9日(木)から始まっている神田祭は「天下祭」とも呼ばれ、2019年は本祭の年。
「天下祭」の名は江戸時代に登場するのだが、江戸城に祭礼の列が入ることを許され将軍が上覧した祭りのことを指している。これが許されたのは神田神社(明神)と赤坂・日枝神社(山王権現)の祭礼だけで、例祭中のこの巡行だけを指して特に「神幸(しんこう)祭」と呼んでいる。
江戸っ子に歌われた「神輿(みこし)深川、山車(だし)神田、だだっ広いが山王さま」とは、今でも人気の深川・富岡八幡宮、神田明神、日枝神社の例大祭の様子を言い表したもので、これらの神社の祭礼は江戸三大祭りとして取り上げられることも多い。
■あまりの盛大さに隔年開催となる
月11日に「神幸祭」が行われる神田祭は、特に江戸っ子たちに人気で、「江戸名所図会」にも挿絵だけで8ページにわたり祭りの様子が描かれているほどである。一方、神田明神、日枝神社へは祭礼の費用の一部を江戸幕府が負担したりもしていたが、次第に肥大化していった両社の祭りの費用を毎年2回分負担できるほど日本橋界隈に余裕があるわけもなく、すでに天和元(1681)年には、神田明神と日枝神社の天下祭りは1年ごと交互に執り行うようになっていた。これが、今に続く隔年開催の始まりである。
■三之宮・平将門命と神田明神のえにし
神田祭・神幸祭の行列は、神田、日本橋、大手町、丸の内、秋葉原を巡行する。神田明神の祭神・大己貴命(おおなむちのみこと)、少彦名命(すくなひこなのみこと)、平将門命(たいらのまさかどのみこと)をそれぞれ乗せた神輿3基と獅子頭山車や諌鼓(かんこ)山車などに加え、CMでもおなじみの木遣(きや)り衆など数千人規模の大行列が、氏子の住む108町会を巡るのである。
今は皇居に入ることはないが、大手町にある「将門塚」で行列は休憩をとる。
この場所は、「三之宮鳳輦(ほうれん)」に乗る平将門命の首塚で、もともと神田明神が鎮座していた場所でもある。将門塚については以前別稿でご紹介したが、将門のたたりを隣接していた神田明神が鎮めたという縁が現在までも続いている。江戸城の拡張に伴い、神田明神は現地へ遷座したが、首塚はこの地を動かず、今でも9月の彼岸には将門鎮魂の神事が、神田明神の神官によって執り行われているのである。