本人が語ってもいないことをわかるはずない、と言ってしまえば、2人の関係は今までとは変わりません。わかるように、わかるまで、興味をもって観察する、というのが必要なことです。それが、別の言葉でいえば、寄り添うということです。

 飛行場で働いている友人は、飛行機の音を聞くだけで、○○社製のなんというエンジンだ、と言い当てられます。新生児室に勤めていた知人のナースは不妊治療などで周りから待望されて生まれた子は泣き声でわかる、と言っていました。両方とも私には何がどうやったらそんなことがわかるのか想像もつきませんが、興味をもって観察するというのはそういうことだと思います。

 恋愛初期は、多くのカップルが、相手のことをそのくらいの勢いで観察していると思います。しかし、いつの間にかルーチンになってしまいがちです。飛行機のエンジン音や赤子の泣き声と同じように、興味を持たずに接していると、その奥深い面白さには気づくことができないままになってしまいます。自分が選んだパートナーの奥深い面白さに気づかないまま過ごしてしまうというのは、とてももったいないことでないでしょうか。

 花をあげても以前は喜んだのに今は喜ばないという現象から、実は妻は、切り花は花がかわいそうに感じて、心が痛むような優しい気持ちの持ち主なんだということや、それなのに交際当初はそんなことを忘れてしまうほど自分のプレゼントが嬉しかったんだ、という新事実が分かることはとても幸せなことだと思います。それを巷間よくいわれるように「愛情が減った」と思いこんでしまうのは、とてももったいないことだと思います。(文/西澤寿樹)

※事例は事実をもとに再構成しています

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