著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
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軽減税率の対応「早めの準備を」 大阪の商店街でPR(C)朝日新聞社
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 安倍晋三総理は来年10月に消費税を8%から10%に2%引き上げると宣言した。

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 消費税は、逆進性の高い税金だ。所得に対する消費の割合は、貧困層ほど高い。貯金する余裕などなくほぼ全額使ってしまうという家庭や借金したり貯金を取り崩して生活するという家庭もある。このような家庭にとっては、消費税が2%上がると、医療費のような非課税対象以外の支出全てが2%上がり、生活苦は一気に深刻化し、生活必需品の購入や教育費も削らざるを得ず、ひどいケースでは借金を拡大しなければならない事態にもなる。その結果、生涯かけてもほとんど貯蓄はできず、子供や孫に財産は残せない。

 これに対して、富裕層では、元々所得に対する消費の割合は低く、かなりの貯蓄ができる。2%税率が上がっても、貯蓄をほんの少し減らせば、生活を切り詰める必要はないし、その後も貯蓄を続けて、子や孫に贈与をしたり巨額の遺産を残したりできる。

 つまり、格差が世代を超えて拡大していくのを消費税がさらに助長するわけだ。

 そうした懸念があることは、安倍政権もわかっている。そこで、食料品などに軽減税率を導入して8%に据え置くとともに、様々な対策メニューを導入しようと検討を急いでいる。

■馬鹿げたバラマキで景気落ち込みを回避

 まず、軽減税率以外の対策を見てみると相当筋の悪い政策が並んでいる。プレミアム商品券は、バラマキ政策を実行するために自民党と連立を組んでいる公明党のお家芸だが、これは、「天下の愚策」として経済学者からも酷評されている政策だ。

 この他に住宅ローン減税の拡大、自動車関連の減税なども検討されているが、呆れたことに、国土強靭化に資する公共事業を増やすことまで検討課題になっている。地震が起きても国土強靭化、水害が起きても国土強靭化。そして、何と消費税増税対策で国土強靭化。国民にとって、増税は大きな災害だから一貫性があるという冗談も聞こえてきそうだが、便乗バラマキの最たるものだ。もちろん、これらは、来春の統一地方選と夏の参院選対策であることは、誰にでもわかる。

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これほど大規模な対策が必要=アベノミクス失敗