慶應大からソニーへ49人、早稲田大から三菱UFJ銀行へ83人、同志社大からJR西日本へ23人、明治大からNECへ28人といった表内の赤色で塗られた箇所は、その企業のなかで最も採用数が多かった大学を示す。また、採用数で5番目までの大学を青色、10人以上の採用数がある大学を黄色で示し、企業がどの大学や大学群に関心があるのかをわかりやすくした。なお、就職者数は学生の申告を受けて大学がまとめているため、実際の入社人数と異なる場合がある。また、大学ごとの卒業者数は大きく異なるため、比較の際は注意してほしい。
表からは、いくら「売り手市場」とはいえど、基幹産業ともいえる企業が大学を絞り込んでいるのがわかる。つまり、学生優位の状況でも「選ばれる大学」はあるのだ。
前述した電気機器メーカーを見てほしい。東京大、京都大、北海道大などの旧帝大を始めとして、早慶上智や明治大、青山学院大などのMARCH、西にとんで関関同立が、多くの企業で2桁をキープする。なかでも早慶は頭一つ抜けている。
調査を実施した大学通信の安田賢治常務はこう指摘する。
「理工系の学部を設置している大学はメーカーに強く、他とは一桁変わってくる。同じMARCHの中でも、立教は理学部しかないため数に出にくい。一方、一橋は理工系学部がゼロなのに、これだけ採用されています。メーカーに強いと言ってもいいでしょう」
今後は、ビッグデータの解析に欠かせないデータサイエンスを学べる大学や学部にも注目が集まりそうだ。
ほかにも、トヨタ自動車や日産自動車は早慶以外にも旧帝大を、全日本空輸や日本航空はMARCHをターゲットにしているのがわかる。ヤフーやディー・エヌ・エーの狙いは、ずばり東大。卒業生が特段多いわけではない東大で、この2社は採用数が最も多い「赤色」。学生側も、いかにこれらの企業に関心が強いのかがうかがえる。また、サイバーエージェントや楽天など、採用人数の多さからもネット企業の勢いが感じられる。
一方、学生からの人気は高いものの、採用枠が少なく数に表れにくいのが食品業界だ。上位校といえど、2桁超は数えるほど。前出のマイナビ・栗田部長が言う。