好景気と言われても、日々の生活から、景気の良さは感じられない。だが、就活は違う。1人3~5社の内定は珍しくないほど、景気がいい。そんな売り手市場の中でも、人気企業は学生を絞り込んでいる。選ばれる大学とはどこなのか採用者数から読み取る。
【ランキング表】人気企業の採用者数が一番多い大学はここだ!(全6枚)
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空前の「売り手市場」が続く就職戦線。学生優位の様相が、さらに強まっている。
人材情報会社「マイナビ」によれば、6月末時点で、2020年卒業生の74.4%が内々定を決めている。文系学生が約7割、理系学生は8割を超えた。就活市場の景気の良さを示している。
一方で、企業を選ぶ理由を調査した「大学生就職意識調査」(マイナビ)によれば、トップは「安定している会社」だった。01年卒対象の調査以来、不動だった「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」に3.9ポイントの差をつけて、1位に浮上したのだ。
マイナビのリサーチ&マーケティング部の栗田卓也部長が、
「注目すべきは、同時に選択した項目です。以前は業界上位であることや福利厚生を選ぶ学生が多かったのですが、近年は企業の成長度に注目する学生が増えています。人生100年時代と言われるなか、自分自身もスキルを身につけたいという思いが強まっているようです」
と話すように、志望企業として上位の常連だった銀行や証券は、業務の効率化、新卒採用数の大幅削減の影響もあり、順位を落としている。
たとえば、5年前の15年卒対象の文系人気ランキングと比較すると、7位だった三菱UFJ銀行(旧・三菱東京UFJ銀行)が16位に、みずほフィナンシャルグループは18位から47位にランクダウン。翻って好調なのは、電子・電気機器メーカーだ。同ランキングの理系でソニーは11位から1位に躍進し、さらに、富士通は62位から5位と、一躍、人気企業となった。
では、学生が企業を選べる時代といわれる就活の実態はどうなっているのか。企業は特定の大学にターゲットを絞っていないのか──。「AERA」8月5日号ではその実態を明らかにするために、大学通信の協力を得て、人気企業100社が今春、どの大学から何人の学生を採用したのかを表にしてまとめた。その一部を掲載する。