これは文化的な面以前の、生き物としての「欲」の分野。ならば一般的には日常系のものか。ちなみに私は「食」に関しては人一倍時間を割く方だ。意識的であり、自分なりのオピニオンを持っている。外食産業が食への関心が高くない人向けのものであることを知っているし、そういう大きな資本に自分がコントロールされない主張として、創作料理を作ったり、こだわりの店を食べ歩いたり、オーガニック農業の人脈とつながっていたり、また、興味の無い人に「食ってそういうことじゃないんだよね」などと、質と量をチラつかせて啓蒙(マウント)したりもする。ところがエロは違う。今回この原稿を書くにあたって自分なりに関心領域のマッピングをしてみたら、完全にこだわりが薄い側だった。愕然。

「どれだけ女と寝たか」で、あたかも男の価値が測られていた時代があった。相変わらずそういう価値観は死滅してはいない。いわば男のエリート主義か。性欲はあるが、エリート主義まではいかず、日常的にあるこのことへの処理をぼんやりと行っている、そういう男性は多いのではないだろうか。そんなところに「性のユニクロ」みたいなものが出来たら便利過ぎてうっかり利用しちゃうだろう。

 賢明なアエラ読者は何に対して興味があり、何に対して面倒くさく思っていますか? これを機に「マキタスポーツが好き」と周囲に主張してみてはいかがでしょう。

AERA 2018年12月24日号

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マキタスポーツ

マキタスポーツ

マキタスポーツ/1970年、山梨県生まれ。俳優、著述家、ミュージシャンなど多彩な顔を持つ。子供4人。スポーツ用品店だった実家の屋号を芸名に。著書に『すべてのJ-POPはパクリである。』ほか。映画「苦役列車」でブルーリボン賞新人賞受賞。近刊に『越境芸人』(東京ニュース通信社)。『決定版 一億総ツッコミ時代』(講談社文庫)発売中。

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