日本の社会起業家の先駆者・大西健丞氏が懸念 若手が陥る「罠」とは? (3/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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日本の社会起業家の先駆者・大西健丞氏が懸念 若手が陥る「罠」とは?

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石臥薫子AERA#企業#働き方
大西健丞(おおにし・けんすけ)/27歳のとき、ピースウィンズ・ジャパンを設立。日本のソーシャルビジネス界を牽引するリーダーのひとり(写真:ピースウィンズ・ジャパン提供)

大西健丞(おおにし・けんすけ)/27歳のとき、ピースウィンズ・ジャパンを設立。日本のソーシャルビジネス界を牽引するリーダーのひとり(写真:ピースウィンズ・ジャパン提供)

 彼らには、目の前の事業を回すことだけで満足はしないでほしい。「社会起業家」を名乗るなら「社会制度設計家」でもあってほしいと思うのです。

 自分は社会にどういうインパクトを与えたいのか。そのためにはどれくらいの資金が必要で、どう調達するのか。根本的な制度設計から考えてほしい。

 最大の問題は、やはり資金です。資金が流れてこないと、優秀な人材も獲得できない。結局、そこに「意思」だけがあっても、人とカネが来なければ物事は動きませんから。

 日本では個人による寄付がまだまだ少ない。日本ファンドレイジング協会の推計では、2016年、アメリカの個人寄付の総額が約30兆6664億円なのに対し、日本は約7756億円です。

 これは、単に寄付文化の違いによるものではありません。寄付しようと思うインセンティブを与えるような税制や制度が不十分だからです。

 寄付金の税額控除は旧民主党政権のときに「(寄付金額-2千円)×40%」となりましたが、僕は100%にすべきだったと思う。ふるさと納税も2千円を引いて残りの100%が控除されるようになった途端、お金が回り始めましたから。

 助成金や補助金をもらう場合も、日本では原則として当該事業にしか使えない。総会の運営費、広報活動費などは持ち出しになって、活動すればするほど貧乏になる。俗に言う「援助貧乏」。既存のルールに従っているだけでは、支援を拡大できないんです。

 中央でも地方でも、もはや政府だけですべての課題を解決するのは無理でしょう。公益を担う民間セクターを拡大、成長させていくべきときです。ソーシャルビジネスに取り組む若手には、そのための土壌や制度づくりにもぜひ参加してほしい。

 この世界で生きてきた先輩として、そう願っています。
(編集部・石臥薫子)

AERA 2018年2月5日号


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