「海外からの招待で会議に出席する場合には、主催者側でチケットを手配していただくことも出てきます。日本のように結婚で名字をどちらかの姓にしなければならない国はあまりないので、そのたびに説明が必要になります」

 先日受賞した文部科学大臣表彰の「若手科学者賞」でも、表彰状には旧姓で記載されたが、表彰者名簿には戸籍名である夫の名字で登録された。どちらも自分であることには間違いないのだが、研究成果が認められる重要な場面で、名前が混在することには違和感がある。

「旧姓と戸籍名を併記した公的機関が発行する旧姓使用許可証のようなものがあれば、こうした問題の解決策になるのではないでしょうか……」

 この問題をめぐっては、公的証明書の発行で「旧姓使用」をより便利にしようという意見と、そもそも選択的夫婦別姓を認めるべきだという意見があり、解決策は一筋縄ではいかない。

AERA 2015年10月19日号より抜粋