「つまり、新NISAの口座はゼロベースで考えるべきなんです。何しろ生涯投資枠としての非課税枠が1800万円ですからね。当面は1人1口座、おそらく1回開いたら、別の金融機関に移すのは取り扱い商品の違いもあって大変な作業になるでしょうから、一生つきあうつもりで金融機関を選んだほうがいいでしょう」

 しかも、これは初心者に限った話ではない。現行NISAの口座を持っている人も、必ずしも同じ金融機関で新NISAを始める必要はないのだ。神戸氏が続ける。

「年後半へ向けて金融機関の口座獲得競争が激化する可能性があります」

■個人投資の王道徹底的に学ぼう

 それでは金融機関選びのポイントは何か。

「これはもう、自分がどれだけ勉強できているかで変わってきます。自分で判断して自分で商品を選べる人は品ぞろえが豊富なネット証券でいいでしょう。そうではなく、ある程度は相談したり、話を聞いてもらえたりしたほうがいいと思うなら、地元の金融機関などになるでしょう。また、将来的に株式投資をする可能性があるのなら、銀行ではなく証券会社を選ぶ必要があります」(神戸氏)

 現行NISAの口座開設でこんな経験をしながら、来年からの金融機関選びも考えていけばいい。

 投資の基本を学ぶことも必須だ。神戸氏は、相場観や売買のタイミングで儲けを狙う「趣味としての投資」と、お金にも一定程度(年利回り2~3%)は働いてもらう「仕事としての運用」をきっちり分け、将来に向けての資産形成のために行うべきは「仕事としての運用」だと力説する。

「『仕事としての運用』で大切なのは、早く始めて続けることです。相場が下がってもやめない、投資を継続することが成功への道なんです」

 それができるようになるには、個人にとって投資の王道とされる「長期・分散・積み立て」の考え方やメリットを「腹落ち」するまで学ぶ以外にないという。

「投資のリスクは価格のブレを指します。投資信託を使って長期に国際分散投資を積み立て型で行うと、この価格のブレを小さくしながらリターンがプラスになる中でのブレにできるのです」(神戸氏)

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