グリーンの分野でも完全に日本は出遅れた。発電に占める再生可能エネルギー比率はわずか2割。5割から7割のカナダ、スウェーデンはもとより、4割前後のドイツ、スペインなどに大きく遅れ、中国の27%にも及ばない。太陽光パネルも、昔は日本のお家芸だったが、今はトップ10にも入れない。風力発電機でも、日本企業は全て撤退した。電気自動車でも、米中企業に完敗で、トヨタも全く置き去りだ。

 こうした事態は、90年代以降アベノミクスに至るまで、この二つの分野を全く無視してきた自民党政治の無策の結果である。30年にわたり、公共事業のバラマキと円安政策しかやらなかった。しかし、日本という国はつくづくおかしな国だ。その大失敗を犯した政党が今なお政権を担い、偉そうに「デジタル」「グリーン」と叫んで胸を張る。

 よく考えてもらいたい。日本経済をこれほどまでに落ちぶれさせた自民党にその立て直しをさせることの意味を。しかも、現場を担うのは、旧態依然の「日の丸」経産省だ。必ずや失敗を繰り返し、その結果、日本経済は二度と立ち直ることなどできなくなるだろう。

週刊朝日  2021年4月23日号4月23日号より

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)など

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古賀茂明

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古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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