化学調味料が「体に悪い」は間違い! 医師が指摘する“添加物リスク”の受け止め方 (2/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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化学調味料が「体に悪い」は間違い! 医師が指摘する“添加物リスク”の受け止め方

連載「ワインは毒か、それとも薬か」

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岩田健太郎週刊朝日#ヘルス#ライフ
岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』など

岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』など

そもそもグルタミン酸ナトリウムは昆布からの抽出物だ。「化学調味料」は「昆布だし」と同じものが入っているのだ(写真:getty images)

そもそもグルタミン酸ナトリウムは昆布からの抽出物だ。「化学調味料」は「昆布だし」と同じものが入っているのだ(写真:getty images)

 しかし、アレルギーは卵やそばやイカやエビや、あるいはアスピリンのような医薬品でも起きる可能性がある。例えば、ぼくは生のエビにアレルギーがあるので食べられない。でも、それを根拠に他の人に「エビを食べるな」とは主張しない。アレルギーがない人には、エビは安全な食べ物だからだ。

 同様に、亜硫酸にアレルギーがある人がいる、ということは、「アレルギーがなければ問題なし」という意味でもある。それをもって亜硫酸入りのワインを「健康によくない」とカテゴライズするのは正当ではないだろう。そんな根拠を認めてしまえば、世の中のほとんどの飲食物は同じ理由で断罪されてしまう。

 それに、そもそも、酵母によるアルコール発酵過程でも少量の亜硫酸が作られている。アレルギーがあれば、やはり危ないのだ。添加した亜硫酸は悪くて、自然に作られた亜硫酸はよい、というのは天然のものを過度にありがたがる、まさに「天然ボケ」としか言いようがない。この手の間違いは自然界の放射線ならよくて、原発由来の放射線はよくない、といった自然派主義の人たちがときどき間違えるピットフォールでもある。

 人体の細胞はそのような「自然か」「人工か」といった、ものごとの由来などは顧慮しない。両者の区別は「人間の頭の中だけ」にある観念的違いに過ぎない。いずれにしてもワインの場合、瓶詰めして1年後には二酸化硫黄は減少してほぼゼロになっているそうだから、いろいろな意味で、亜硫酸は気にする必要はない。

 亜硫酸無添加のワインもある。しかし、この場合は酸化が進んだり、雑菌が繁殖したりしてワインの味覚が落ちるリスクがある。また、アルコールが酸化しやすくなってアセトアルデヒドが生じ、二日酔いしやすくなる可能性もある。「農薬」の話をしたときに述べたが、あるものを添加する場合のリスクは考えたほうがよい。しかし、そのとき同時に添加させない場合のリスクも考えなければならない。リスクは両面的なものであり、「リスクなし」という選択肢は基本的にありえないのだ。農薬を使わなければ、農薬そのものがもたらすかもしれないリスクはヘッジできるが、例えば感染症のリスクは増えてしまう。一見、リスクに見えることを排除すればリスクがなくなる、という素朴な「ゼロリスク信仰」は単純に間違っている。
 


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