うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
* * *
2児の子どもをもつ、芸人「オリエンタルラジオ」の中田敦彦氏が、「良い夫をやめました」と宣言したことが話題となりました。発言に対しては賛否両論あったそうですが、子どもをもつ妻である立場であったら、きっと皆「否」と唱えるんじゃないかと思います。
自分が夫からそんなこと言われたら、「じゃあ私も良い妻をやめる」と言いたくなりませんか? お互いがそれを実行した時点で、待っているのは「離婚」という未来しかないでしょうけれど……。
■今までの行為を「全て演技でした」と否定したようなもの
中田氏は、「良い夫をやめる」発言以前には、「仕事より育児のほうが大変」と言ったり、インスタグラムで何度も「今日の妻も可愛い」というハッシュタグをつけたりしていました。今回の言葉は、そうした行為を「全て演技でした」と否定したようなものです。たとえ全てではなかったとしても、どれが本音でどれが嘘かなんて、本人に一つ一つ聞かなくてはわかりようがありません。妻のショックは相当なものでしょう。しかも自分の中で勝手に思ったならともかく、不特定多数の、大勢の人が読むコラムという場所で言葉に残してしまったのは、本当に思いやりがないとしか思えませんでした。
彼の宣言に「賛」を唱えた人たちの言葉に、「彼は趣味の自転車をやめた」「たばこもやめた」「そんないい夫に妻はなんの不満があるのか」、というものがありました。しかし子どもを生んだ経験がある女性からしてみれば、「その程度で何を言っているの?」と思うでしょう。女性は妊娠してから、母乳育児であれば、子どもが生後1年以上になる卒乳のときまでずっと、たばこどころか風邪薬を飲むことさえとがめられるのです。自分の体内の物質が直接子どもの栄養になるので、害があるものは控えさせられるというわけです。