ドラッグストアなどで市販されている漢方薬。なかには漢方薬名とは違う商品名になっている市販薬もあるので、購入時には薬剤師などに相談を(撮影/写真部・小山幸佑)
ドラッグストアなどで市販されている漢方薬。なかには漢方薬名とは違う商品名になっている市販薬もあるので、購入時には薬剤師などに相談を(撮影/写真部・小山幸佑)

 わざわざ病院に行くほどでもないけれど抱えているとつらいのが、たまに起こる腹痛や二日酔い、そして肩こり。そんな症状にぴったりなのが漢方だ。即効性もあり、ドラッグストアで購入できるものを中心に紹介する。

【1】通勤中にトイレに駆け込む…おなかの調子を整えたい、出張時の便秘や下痢
<大建中湯(だいけんちゅうとう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)>
 通勤中の電車で急に襲ってくる下痢。通勤途中の駅のトイレの位置をすべて覚えている人もいると聞く。一方、会社のトイレでは排便できないという女性からは、「つらい」という訴えも。

 精神科・心療内科の漢方治療を行う漢方医学研究所青山杵渕クリニックの所長、杵渕彰さんのもとには、こうした悩みを抱える患者がたくさん来院する。

「土日しか排便できず、おなかが張って苦しいと訴える女性患者さんもいます。漢方はもともと心と体のつながりを重視する“心身一如(しんしんいちにょ)”に基づいている医療なので、ストレスによる体の不調にも対応が可能です」

 杵渕さんは、こういう症状は“気うつ”によるものだと話す。気というエネルギーがうまく全身を巡らず、停滞してしまう状態だ。滞る場所によって症状が変わり、おなかなら便秘や下痢、おなかの張りといった症状が、胸なら息苦しさや喉に詰まった感じ(咽喉頭異常感)といった症状が現れる。

 こうした胃腸のトラブルに用いられるのが、大建中湯。ガスがたまって腸の動きが悪くなっているときに使われる。杵渕さんはこれに小建中湯(しょうけんちゅうとう)や桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)を加えたりしている。

「西洋薬だと下痢には止瀉薬、便秘には下剤というように、症状で薬を分けますが、漢方薬はおなかの機能を整えるため、下痢と便秘の両方に効くという特徴があります」(杵渕さん)

 便秘や下痢では、出張先のおなかの不調で困る人もいるだろう。芝大門いまづクリニック院長の今津嘉宏さんは、出張時には半夏瀉心湯を持参するとよいとアドバイスする。

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