宗教の構造とそっくり? “三田会”の結束が固い理由

2016/10/04 07:00

慶応大学三田キャンパスの図書館旧館=東京都港区 (c)朝日新聞社
慶応大学三田キャンパスの図書館旧館=東京都港区 (c)朝日新聞社

 団体数、結束力、集金力で有名な三田会。慶應義塾大の卒業生たちの会の総称だ。卒業してもなお、というより、むしろ卒業してから絆を深める塾員たち。その根底には、創立者・福沢諭吉による教育理念がある。

 重きをなすのが「社中協力」。「社中」とは塾生、塾員、教職員など塾に関わるすべての人たち、いわば「オール慶應」の意で、同じ社中に属する者同士、親睦を深め、互いを助け合うという教えだ。

 この理念は、幼稚舎から大学・大学院までの一貫教育によって浸透していく。三田会の結束力を分析した『慶應三田会 組織とその全貌』の著書がある、宗教学者で東京女子大非常勤講師の島田裕巳さんは、「小学校から高校までの内部生によって慶應らしいカラーが決まり、大学入学組はそのカラーに憧れと反発を抱きながら強く同化していく。結果、数が圧倒的に多い外部生のほうが人脈を広げる三田会活動に熱心になり、それが強い結束力を支えている」と分析する。

 大学内に卒業生の住所管理を担う部署「塾員センター」があることも大きい。最近では他大学も同様の体制を整えているが、慶應が先んじたのは、4年に一度の「慶應義塾評議員選挙」があるから。評議員は財界の大物が名を連ねる名誉職で、塾員の直接投票で決める。塾員一人ひとりに投票用紙を送るため、大学が卒業生の管理をする必要があったのだ。

 さらに、後述の卒業25年の節目には、その卒業年次の年度三田会の実行委員が中心となり、同期の所在不明者を可能な限り洗い出し、塾員センターへの登録を促す。現在塾員数は約35万人で、住所判明率はなんと85%を超えるという。ある塾職員は「大学の現況や情報を欠かさず通知し、大学と塾員がきちんとつながり続ける。この地道な作業が、実は慶應が誇る集金力の底支えをしている面もある」と分析する。

 塾員が三田会活動に熱心になる独自の「仕組み」もある。

 まずは「慶應連合三田会大会」。毎年10月に日吉キャンパスで行われる慶應ファミリーのイベントで、約2万人もの塾員やその家族などが足を運ぶ。事前に大会券(1シート5枚つづり1万円)が売られ、記念品と交換できる。毎年デザインが変わる慶應オリジナル腕時計は、オーナー一家が代々慶應に通うセイコー製だ。ハイブリッドカーが当たる福引や商学部卒の歌手miwaさんのライブなど、まさに塾員による豪華学園祭なのだ。

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