ビールのプリン体含有量は…(※イメージ)
ビールのプリン体含有量は…(※イメージ)

 痛風・高尿酸血症は血中の尿酸値を下げることが重要課題だが、誤った認識を抱いている人も多い。正しい対策について、「日本痛風・核酸代謝学会」認定痛風医である虎の門病院循環器センター内科の桑原政成医師に話を聞いた。

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 尿酸の研究は、日本が世界で最も進んでいる分野のひとつです。海外では、尿酸値が高くても痛風発作を起こしていなければ、尿酸生成抑制剤や尿酸排泄促進剤といった尿酸値を下げる薬を処方しないケースがほとんどです。日本のガイドラインでは、高血圧などの合併症がない人は尿酸値9mg/dl以上、合併症がある人は8mg/dl以上の場合に、生活指導で尿酸値が下がらなければ薬物治療の開始を推奨しています。

 痛風発作をまだ起こしていない高尿酸血症というと、痛風発作に主に注意がいきますが、高尿酸血症の治療は、透析の原因となる腎機能障害や、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の予防となる可能性もあり、重要だと捉えています。

 痛風発作の有無にかかわらず、尿酸値が高い状態が続けば、これらの命に関わる重大病の発症リスクは高まると考えられるため、患者さんによっては、早い段階で積極的な治療が必要になります。

 特に、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などに該当する人は、腎機能障害や心血管疾患のリスクが高いため、治療のメリットがより大きいと考えられます。

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