どーなるマーくん! 代理人が入札制度の舞台裏を解説 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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どーなるマーくん! 代理人が入札制度の舞台裏を解説

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週刊朝日#田中将大
優勝パレードでの田中将大 (c)朝日新聞社 

優勝パレードでの田中将大 (c)朝日新聞社 

 ついに、楽天の田中将大(25)のメジャー移籍の舞台が整った。難航していた日米の新ポスティング制度(入札制度)をめぐる協議が大筋で合意。野茂英雄(45)、ダルビッシュ有(27)両投手など多くの選手のメジャー行きに関わってきた代理人の団野村氏(56)が舞台裏を解説する。

 ポスティング制度ができたきっかけは1995年の野茂氏、97年の伊良部秀輝氏(故人)の移籍騒動だ。ともに代理人は団氏。野茂氏は近鉄を「任意引退」してドジャースと契約を結び、伊良部氏は希望していたヤンキースへパドレスとのトレードを経て入団した。

 当時、「145日以上の1軍登録9年間」で得られる海外フリーエージェント(FA)権がない選手が、米大リーグ機構(MLB)に移籍する方法が基本的にはなかったため、日本野球機構(NPB)の混乱は大きかった。

「選手が移籍していき、1円も得ることができなかったNPBはMLBに苦情を出した。MLB側は、日本人選手との交渉の機会均等を望んでいたこともあり、ポスティング制度を提案してきた」(団氏)。締結されたのは、98年のことだ。

 制度を利用できるのは、選手がメジャー移籍を希望し、所属球団が認めた場合だ。米球団に移籍金を入札させ、最高額を提示した1球団に独占交渉権を与えるもので、00年度にマリナーズに移籍したイチロー選手(40)を皮切りに、これまでに11人の選手が制度を利用して海を渡った。

 団氏はこの制度に、当初から反対していたという。

「選手が希望しても球団がノーと言えばメジャーに行けない。選手のための制度ではなく、球団に与えられた権利でしかない」

 だが、制度は何ら見直されることなく、2年ごとに自動更新された。巨額の移籍金を手にできるNPBにメリットが大きいことに加え、「選手自身が、自分の権利や立場をきちんと理解しておらず、労働環境についての知識もないことが最大の悪因です」。

 この団氏の指摘は、今夏以降の新たな騒動を予期していたかのようだ。

 今年8月、ポスティング制度が昨年12月に更新されず、失効していたことが明らかになった。高騰する移籍金に、資金力のない米球団が難色を示したことと、昨オフに制度を利用する選手がいなかったためとみられるが、あまりにお粗末な管理体制だ。

 NPBは、新制度に向けて準備中であると弁明。落札額を最高入札額と2番目の額の中間にするなどの修正を加えて合意しようとした。ちょうどパ・リーグでは田中投手が勝ち星を重ね、メジャー移籍への機運が盛り上がっていた。急がなければならなかった。

 だが、11月1日、選手会側が「1球団としか交渉できないのは不満だ」などとして新制度に反対する文書をNPBに提出。するとMLB側が修正案を撤回、協議は白紙に戻ってしまった。

 団氏は「選手会はやはり何もわかっていなかった」と嘆く。

「経営者同士の話し合いのはずで、選手会が嫌だと言えば通る話ではない。選手会がやるべきは『入札金の2割は選手が受け取りたい』『FA権の取得期問を短くしてほしい』などと選手側の要望をNPBに出すことです。選手会の態度が協議を止め、MLBに足元を見られてしまう結果になった」

週刊朝日 2013年12月20日号


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