AERA with Kids+ Woman MONEY aerauniversity NyAERA Books TRAVEL

「出産と子育て」に関する記事一覧

1歳以上は全員預け場所確保 ドイツの待機児童問題対策
1歳以上は全員預け場所確保 ドイツの待機児童問題対策 日本と同様、少子化に苦しむドイツでも、幼稚園に入れない「待機児童」の問題は深刻だ。しかし、それもこの夏から変わろうとしている。法令施行によって今年8月から、1歳以上の子どもは、希望すれば全員、預け場所が確保できる権利が保証されることになったのだ。高齢化が進む同国で「究極の少子化対策」となるのか、日本にとっても興味深い試みである。

この人と一緒に考える

特集special feature

    「自転車に乗ると流産する」は本当か?
    「自転車に乗ると流産する」は本当か? 妊娠した女性は安静にしているべきだというのは、遠いむかしの話。歩くなど軽い運動しかできなかったのも、むかしの話。いまは、ベリーダンスやフラダンスで積極的に腰を動かし、汗を流し、ストレスを発散させる時代なのだ。しかし、男性を誘惑するアラブの踊りというイメージのベリーダンスが、どうして妊婦スポーツに最適なのだろうか。
    女子の遺伝子
    女子の遺伝子 よしもとばななと、母子保健の研究者の三砂ちづるが、女の身体、お産から育児、母と家について語り合う。庭の縁台に腰をかけて話しているような温かみある雰囲気がいい。  三砂は、出産について、ぎりぎりまで本能を発現させる場として助産院をすすめる。日本の助産婦は世界一で、世界遺産にしたいくらいだという。母の最期について、ばななは話す。母は退院し、すぐに好きな酒と煙草を断った。その日から死は早かった。「やっぱり人間は楽しいことがないと生きていられない」。そして子どもが生きていくために必要なのは「楽しさ」だという。  タイトルの「女子の遺伝子」は、父・吉本隆明のことばから。戦前も戦後も進歩的な女性はたくさんいて、家事はやらないとか、ご飯はつくらないとか、子どもを産んでも知らないとか、いろいろトライしたが、基本的にうまくいかなかった。それは遺伝子問題だからだと。それは一理あるとばなな。最後に父からいわれたのが、「並びなきいい家庭を作るというのはすごい、すばらしい小説を書くのと何も違わない」。感銘を受ける。
    ダース・ヴェイダーとプリンセス・レイア
    ダース・ヴェイダーとプリンセス・レイア バカバカしいといえばいえるが、「スター・ウォーズ」ファンはそりゃあ買うよね。シスの暗黒卿もおうちではただのパパ。『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』はダース・ヴェイダーとルーク・スカイウォーカー父子のごく平和な家庭生活を描き出した子育て絵本だった。  同じ作者と訳者による『ダース・ヴェイダーとプリンセス・レイア』(ジェフリー・ブラウン作、とみながあきこ訳)はその続編(どうせなら「レイア姫」と表記して欲しかったわ)。前作で幼いルークのやんちゃぶりに振り回されたパパは、今度は幼女からティーンにまで成長する娘のレイアにとことん翻弄される。  父は娘が心配で仕方がない。ヘソ出しルックの娘を見れば〈わたしがここに来たのは、そのズボンをひっぱりあげるためだ〉。娘がケータイをしていれば〈彼らの送った設計図がどうなったのかを知りたい〉。しかし、レイアも反乱軍である。負けてはいない。父の制止をふりきってインペリアル・シャトルで出かけるわ、オビ=ワン・ケノービに借金は頼むわ。彼氏のハン・ソロとのことで彼女の頭はいっぱいなのだ。父はおもしろくない。ふたりのキスシーンを目撃した父は〈やめろぉぉ〉と叫んで娘の彼氏をカーボン冷凍にしてしまう。  「スター・ウォーズ」はギリシャ悲劇の「オイディプス王」にはじまる「息子の父親殺し=父と子の確執」というモチーフを含む物語である。4歳のルークの物語は父が息子をかまってやれるのは幼児のうちだけ、という暗示なのかも。一方、娘はいくつになっても父の監視を逃れられない。だから思春期になると父娘は必ず対立するのだ。  でも、インパクトはいまいちだったかな。父の権威も威厳も失墜した現在ではこのくらいのパパはどこにでもいて、鉄兜で武装した外見とのギャップもべつに驚かない。  笑ったのは唯一ここ。ある日、娘は父に質問するのだ。〈作文の宿題がでたの……あのね、パパのお仕事は具体的になんなの?〉。
    出産時のリスク 「陣痛促進剤と脳性まひ」本当の関係
    出産時のリスク 「陣痛促進剤と脳性まひ」本当の関係 出産時の事故で重い脳性まひになった赤ちゃんの約3割に陣痛促進剤(子宮収縮薬)が使われ、そのうち8割近くでガイドラインを逸脱した不適切な使い方があったと報じられた。報道の発端は、出産で赤ちゃんが重度の脳性まひになった際に補償する「産科医療補償制度」を運営している公益財団法人・日本医療機能評価機構の「再発防止報告書」。陣痛促進剤と脳性まひにはどのような関係があるのか。
    わたしは妊婦
    わたしは妊婦 大森兄弟は兄弟ユニットの作家である。兄は1975年生まれ、弟は76年生まれ。2009年に文藝賞を受賞したデビュー作『犬はいつも足元にいて』は芥川賞候補にもなったけど、たしか「ふたりでひとつの作品を書くなどふざけている」とかなんとか評されて落選した。 『わたしは妊婦』はその大森兄弟の最新作。男兄弟が書く、妊婦の一人称小説だ。また「ふざけている」とかいわれそう。いやいや、『わたしは妊婦』は書店より赤ちゃん本舗とかで売って欲しい小説だ。  「私」は妊婦である。つわりに苦しんでいる。だのに夫は余計なことばかりいいくさる。〈妊婦さんには避けたほうがいい魚があるんだ〉〈まぐろっ、めばちっ、めかじきっ、きんめだいっ。水銀に注意。養殖魚、近海魚はダイオキシンとか抗生物質の恐れありっ。海藻、食べすぎ危険。ハーブ、これも危険、胎児に影響が出る〉。「私」は遮る。〈その胎児に影響がっていうの、止めてほしい〉  「私」は会社員である。会社員だからいずれ産休を取得したいと部長にいう。〈そうですか、それはおめでとうございます〉。自分がいなくても会社は問題ないというのだろうか。「私」は高校時代の友人に会う。誰も「私」の愚痴をまともに聞かない。〈でもさ、ゆり子って幸せだと思う〉。「私」には同じ妊婦の文通相手がいる。彼女はノーテンキである。理想の妊婦ぶっている。夫も理想の夫気取りである。ついに「私」はブチ切れる。〈だから、そういう次元の問題じゃないのよ〉〈なんなのその言い方、人を動物みたいに〉  かつて妊婦の本音を綴った妊娠出産エッセイがベストセラーになったことがあった。石坂啓『赤ちゃんが来た』(93年)とか、まついなつき『笑う出産』(94年)とか。それから20年たって出現した、本音以上に本音っぽい妊婦小説。シュールで大胆不敵でちょっぴり不気味。身近に妊婦がいる人(夫・父母・義父母・友人・職場関係者・その他)はみんな読んで反省しなさい。

    カテゴリから探す