――現在、お子さんの進学のために日本とイギリスを行き来する生活ですね。海外で過ごすことも刺激になっていますか?

 それは少なからず感じますね。日本とイギリスを行き来して感じるのは「私はやっぱり日本が好きだ」ということと、「日本の人たちは優しい」ということ。何かが起きたときの結束力がとても強いし、安全でご飯も美味しい。それは日本人が築いてきた素晴らしい点だと、海外に行ったことで感じました。

 一方で、イギリスや欧米では社会的な地位や名誉、財産を手に入れた人の多くが当然のように社会に還元するし、リスペクトされる文化です。

 ただ、まだ日本では同じことをしても「偽善だ」「売名だ」と叩かれる文化が残っていると感じます。奥ゆかしさを美徳とする日本の文化は理解できるけれど、人のためを思って行動したことを誰かが叩いたり、隠したりしなくてもいい世の中になってくれたらという思いもあり、私はインスタグラムで今後も発信し続けていきたいと考えています。

(撮影/大野洋介)
(撮影/大野洋介)

 この10年間支援を継続してきたことによって、心ない言葉を言われたり、目にすることはほとんどなくなりました。続けることの重要性を、身をもって感じています。

 私も最初の頃は、アプローチの仕方を間違えたと感じたことがありました。その一つは、地震の義援金を寄付したとき、インスタグラムに振込用紙を載せたこと。嘘ではないという証明の意味と、送り先や方法も分かれば思いのある人は後に続いてくれるかなと思い掲載したのですが、その後たくさんのご意見をいただくことになり、アプローチの仕方を考えるきっかけとなりました。

――ご自身から500万円とお子さんたちからの2千円を寄付して、話題になりましたね。

 そのときは、批判を受ける覚悟でしたし、悪いことじゃないと思っていたのですが、後になって振り返るともう少しやり方があったなと。もちろん、自分で働いて得たお金の使い道は自由だと思いますが、伝えたい情報が伝わらなかったら意味がないし、この経験から、発信の仕方は慎重に考えるようになりました。

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「袋叩きにする風潮に疑問」一方で可能性も