「現地で今求められていることを察知して、何をするべきか判断できるようになった」と語る紗栄子さん(撮影/大野洋介)
「現地で今求められていることを察知して、何をするべきか判断できるようになった」と語る紗栄子さん(撮影/大野洋介)

 タレントの紗栄子さん(33)が昨年10月、被災地支援やボランティアのための社団法人「Think The DAY」を立ち上げた。千葉を中心に大きな被害をもたらした昨年9月の台風15号の時に、4トントラック15台分の物資を集め2日で現地に届けたことがきっかけだ。SNSでは「物資は一つのお店で買い占めないようにしましょう」「細かくたくさんの種類を詰めて送るのではなく、同じアイテムをまとめて届けましょう」など細かな注意点とともに、刻一刻と変わっていく現地のニーズを伝え続けた。

【画像9枚】炊き出しを取り仕切ることも 実際の活動の様子はこちら

 被災地での炊き出しや支援物資の仕分け、清掃、乳児院や児童養護施設への訪問、募金を目的に自身の私服を出品したネットでのチャリティーマーケットなどさまざまな社会活動を約10年間続けている。世間の注目を集める“有名人”のボランティアは、ときに「偽善」「売名」と世の中に捉えられることもあるが、500万円を超える寄付をSNSで公開し一部で批判を受けたときも、「勉強になりました」と自身の学びとし、歩みを止めなかった。そこまでボランティアに力を注ぐ理由は何なのか――。聞くと、シングルマザーとして働きながら2人の子どもを育ててきた1人の女性としての苦労と感謝の気持ちが垣間見えた。

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――昨年の台風15号のとき、どんな活動をしたのか聞かせてください。

 あの前日は佐賀県武雄市でボランティアをしていたのですが、東京に戻ると雨が強くなっていたので、インスタグラムで「千葉のみなさん現状を教えてください」と書いたんです。そうしたら「食料が足りない」「下着や洋服が足りない」「洗濯もできない」「雨にさられています」など、いろいろな情報が集まって、ただ事じゃないと感じました。テレビでの報道以上に特に千葉県鋸南町の被害が深刻だと知り、自分で役所に電話して状況を聞き取りました。

 いてもたってもいられず朝になって、私の個人事務所のスタッフと相談し、必要だろうと思う物資を買い出して車に積み、現地に向かいました。そしたらあまりにもひどい状況で……。次の日も向かいましたが、全然物資が足りず、インスタグラムのフォロワーのみなさんに物資の提供を呼びかけてみたんです。

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物資提供の呼びかけに1500人以上「自分自身が一番驚き」