※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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高尿酸血症・痛風は、関節の痛みがおさまると、治療を途中でやめてしまう患者が非常に多いという。だが、体内にできた尿酸の結晶は、適切に、そして継続的に治療しないと溶けてなくならない。新薬を含む薬物療法のポイントを探った。

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 高尿酸血症の患者の一番の関心事は痛風発作から逃れることだ。痛みを抑えたくて病院に行く人は多いが、痛みが引くと治療をやめてしまいがちで、発作を経験していない人はそもそも病院に行っていなかったり、行っても治療を続けられなかったりする。

 そのため治療のドロップアウト率は約6割に及ぶという。生活習慣病全般の平均である4~5割より高率だ。山王メディカルセンター院長でリウマチ・痛風・膠原病センター長の山中寿医師はこう訴える。

「発作の先には命に関わる病気があるということを十分に認識していただきたいです。尿酸が結晶になってたまった状態が続くと、発作を起こした関節のみならず、腎臓、心臓をはじめ、全身の血管に悪さをすることも大いにありえます」

 痛風発作後も高尿酸血症を放置したため腎障害が進行した、ある日突然脳梗塞で亡くなった、という話は数多くある。他の生活習慣病も併発しているケースも多く、命に関わる病気に至る可能性が何倍にも高くなる。

 高尿酸血症の治療は「生活習慣の改善」と「薬物療法」が柱になる。高尿酸血症と診断される基準は尿酸値7・0ミリグラム/dL。この段階ですでに血液中に結晶ができはじめているが、尿酸値が7以上8未満ではまず生活習慣の改善で基準値以下を目指す。尿酸値8・0ミリグラム/dL以上では5年以内の痛風発症率は30%だが、7以上8未満では5~10%程度というデータに基づいて定められている。

 生活習慣の改善で主眼がおかれるのは、標準体重まで減らすこと。これには尿酸値が下がる科学的根拠があるという。

「病院では管理栄養士による栄養指導で食事全体のカロリー抑制をおこないます。3カ月程度経過を見ても数値が改善せず、治療の継続が難しそうなら、薬物治療でコントロールする場合もあります」(山中医師)

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尿酸値9以上を放置すると、5年以内に痛風発作のリスク