「野球を始めたてでスライディングなどの激しいプレーをしない時期なら、Tシャツと短パンで十分ですよね。『こうあるべき』を見直していかないと、野球の未来はないと思います」(長瀬教諭)

 親による「お茶当番」や試合会場への車での送り迎え、指導者の古い体質など、用具の問題以外にも、野球離れの要因とされる問題は複数指摘されてきた。だが、長瀬教諭は現状をこう話す。

「市内のある少年野球チームでは、子どもたちが卒団するときにグローブやバットなどの用具をチームに残してもらい、次に入ってくる子どもに使ってもらう取り組みをしています。親による『お茶当番』や送迎を廃止したチームもあります。古い体質が残っているのは事実ですが、変わろうと努力しているチームがどんどん増えていることも知ってほしい。もし子どもが少年野球に興味を持ったら、一つだけではなく複数のチームを見学して話を聞いて、合いそうなチームを探してみてください」

 白球を追いかける子どもが増えることは、野球好きの大人たちの共通の願いなのだ。(AERA dot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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