※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 コロナ禍で、がんや心臓病などの手術はどうなったのか。好評発売中の週刊朝日ムック『いい病院2022』(朝日新聞出版)では、新型コロナウイルスの流行が、医療界の「手術」へ与えた影響について迫った。『いい病院』では、「手術数」を切り口に、20年間調査を続けている。その調査結果も併せて、コロナ禍で手術数が「減った」病院、「増えた」病院はどこ? 健診受診率低下で早期がん発見の遅れに続いて、報告する(※この記事は、2021年12月に取材したものです)。

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 千葉県成田市にある国際医療福祉大学成田病院は、まさにコロナ禍が始まった2020年3月に開院した、日本で最も新しい大学病院だ。

 本来は同年5月のグランドオープンの予定が、コロナの感染拡大を見た政府からの要請と大学病院としての使命から、前倒しでの開院に踏み切った。

 オープンと同時にコロナ患者を受け入れ、また同院の感染症専門医がメディアに登場する機会も多かったことから、同院は一気に全国的な知名度をもつことになる。

 しかし、それは必ずしも病院にとって追い風とはならなかった。

■「病院に行くとコロナに感染するのでは」との不安も

 病院長の宮崎勝医師が振り返る。

「空港に近い病院として、外国人の受け入れなど国際的な機能展開が停止したのはしかたないとしても、地域医療にも大きなダメージを受けてしまいました。地域住民が当院にもつイメージが大きく二つに分かれました。一つは『もしコロナに感染しても、新しい大学病院が診てくれるから安心だ』という好意的なもの。もう一つは『あそこはコロナ専門病院だ』というネガティブなイメージです。後者は言ってみれば“風評被害”のようなもの。その後に一般診療を拡大していく中で逆風になったのは事実です」

 同院が開業した20年3月の時点で、新型コロナウイルスの全貌を知る者は地球上に存在しなかった。すべての医療者が手探りで医療に当たっていた。

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