週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2022年版 コロナで注目!在宅医療ガイド』より
週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2022年版 コロナで注目!在宅医療ガイド』より

 介護系のケアは、「食事」「入浴」「排泄」の三つが基本となります。その内容は本人の状態によって大きく変わります。例えば嚥下障害があれば、やわらかく調理するといった作り方の工夫が必要です。まだあまり普及していませんが、こうした場合は管理栄養士による訪問栄養指導が力を発揮します。入浴は浴室への移動のほか、衣類の着脱やからだを洗う手伝いをします。排泄もトイレまで付き添うだけの場合やポータブルトイレの用意が必要な場合、オムツ交換が必要な場合などさまざまです。

 ケアの技術は、入院中であれば病棟の看護師や理学療法士、作業療法士などに指導を受けます。退院後や通院から在宅に移行した場合は、訪問看護師や訪問リハビリのスタッフに教えてもらうのが、一般的です。

 家族がおこなうケアは幅広く、負担が大きいと感じるかもしれませんが、在宅医療において家族の大きな役割は「ともに生きる」ことであり、普段の生活を続けることです。病院でおこなわれていたケアをそのまま家でやろうとすると、家族が仕事を辞めざるをえなくなったり、健康を損ねたりすることにつながってしまいます。ケアマネジャーには、家族の状況に合わせたケアプランを考えてもらうようにしましょう。

 自宅にホームヘルパーが通ってくる「訪問介護」のほかに「デイサービス(通所介護)」を利用する方法もあります。本人の状態によっては「小規模多機能型居宅介護」や「ショートステイ」といった泊まりのサービスを利用できることもあります。

 ひとり暮らしで家族が遠方に住んでいるといった理由で家族のサポートが得られない状況であっても、地域の介護サービスが充実しているほか、本人の意思がしっかりしているといった条件がそろっていれば、最期まで在宅医療が可能なこともあります。

(文・中寺暁子)

監修/石垣泰則医師
●いしがき・やすのり
コーラルクリニック院長。日本在宅医療連合学会代表理事。順天堂大学脳神経内科・リハビリテーション科非常勤講師。

※週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2022年版 コロナで注目!在宅医療ガイド』より