※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 うつ病などの精神疾患の患者数は増加傾向にあり、社会問題になっている。職場のストレスなどによる大人の病気と思われがちだが、患者の約75%が20代半ばまでに発症しており、思春期に多いことはほとんど知られていない。こうした背景から学習指導要領が改訂され、2022年度から高校の保健体育の授業で「精神疾患の予防と回復」について教えることになった。生徒や教員の精神疾患への理解が進むことで、適切な対処や早期発見・早期治療への期待ができる。では、保護者の理解は進むのだろうか。

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 全国高等学校PTA連合会の理事を務める鎌田美千子さんに話を聞いた。鎌田さんは宮城県在住で、現在大学1年生の息子をもつ。息子が小学1年から高校3年まで、PTA活動に参加し、役員などの要職を務めてきた。

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――精神疾患は10代20代で発症しやすい病気です。鎌田さんはこれまで精神疾患を患うお子さんやその親御さんとのかかわりはありましたか?

 息子が通った学校でも他校も含めたPTA活動でも、精神疾患のお子さんやそのお母さんに出会ったことはありませんでした。ただ精神疾患に限らず病気はとてもセンシティブなことですから、すごく親しい関係でもない限り他人には話さないと思いますし、こちらから触れることもありません。精神疾患にかかっているお子さんが身近にいなかったわけではなく、私がそれを知らなかっただけなのかもしれませんね。

 というのも、私は仕事で、10代20代の方と接する機会が多いのですが、そこでは精神疾患の方と接することがたびたびあります。

――PTA活動で精神疾患が議題に上がることはありましたか?

 これまで何十回とPTAの会議に出席してきましたが、精神疾患が議題に上がった記憶はありません。またPTAでは毎年、今日的な問題をテーマに研修をしたり、学校単位、地区単位、県単位で講演会を行っていて、ここ最近は「SNSにかかわる問題」とか、「子どもとのかかわり方」といったテーマが選ばれています。「発達障害」のテーマも近年取り上げることがありますが、精神疾患について取り上げようという提案はなかったですね。

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