甲子園を沸かせたスター選手にも、少なからずブレイクし切れない選手は存在する。

 2013年春の甲子園で決勝までの5試合772球を投げ、済美高を準優勝に導いた安樂智大は、高卒1年目から先発デビューを果たし、初勝利もマークした。2年目は15試合に登板して3勝(5敗)を挙げ、エースへの階段を登り始めたと思われたが、度重なる故障もあり、2017年からの3年間で1勝のみに終わっている。

 2015年夏の甲子園で優勝投手となった中日小笠原慎之介は、高卒1年目から一軍デビューを果たし、9月の巨人戦でプロ初勝利を記録するなど、15試合で2勝(6敗)を挙げた。オフに左ひじ遊離軟骨除去手術を受けて臨んだ2年目は22試合に登板して5勝と勝ち星を伸ばし、2018年は開幕投手に抜擢されたが、シーズン中に左ひじの違和感で離脱して5勝止まりに終わった。昨季は登板数も7試合とプロ入り後最少に終わったが、プロ初勝利、初完投、初完封がいずれも巨人戦という“Gキラー”の本格化が待たれる。

 野手では、仙台育英高で夏の甲子園準優勝に輝いたロッテの平沢大河も、ブレイクし切れない選手の一人だ。1年目の春季キャンプから一軍に抜擢され、開幕スタメン候補に名前が挙がるほど期待は高かった。5月に一軍初出場を果たし、23試合に出場すると、2年目は50試合出場でプロ初本塁打も記録。3年目は外野でも起用されるなど、112試合に出場して大器がいよいよ本格化の兆しを見せたと思われたが、昨季は故障もあり、51試合出場に終わってプロ初の減俸となったようだ。

 阪神の北條史也は、2011年夏から3季連続で甲子園準優勝を記録した光星学院高のメンバー。清原和博と並ぶ甲子園通算29打点を記録するなど、将来のクリーンアップ候補と期待された。プロ4年目の2016年に初の開幕一軍入りを果たし、122試合に出場して規定打席にはわずかに及ばなかったが、打率.273をマークした。その後は年齢的に衰えが見えた鳥谷敬に代わる正遊撃手の座を確保すると思われたが、糸原健斗の台頭もあり、出場試合数が100試合に届かないシーズンが続いている。

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10年目で後がない選手たち