最後にプロ10年目を超えた、いよいよ後が無くなりつつあるブレイクし切れない選手も挙げておこう。

 阪神で北條と同じような立ち位置と言えるのが、今季プロ10年目を迎える中谷将大だ。プロ2年目にフレッシュオールスターでMVPに輝くなど、将来の大砲候補として期待された中谷は、金本知憲前監督の抜擢でプロ6年目の2016年に64試合に出場してプロ初本塁打を放つなど、一軍定着の足掛かりを作った。翌年にはシーズン序盤から外野のレギュラーとなり、4番起用されるなど133試合出場で20本塁打をマークした。しかし、2018年は低打率でスタメンを外れることが多くなり、昨季はルーキー近本光司の台頭などもあり、出場機会は減る一方だ。

 昨季、広島から楽天にトレード移籍した福井優也も今年で10年目のシーズンとなる。ルーキーイヤーに8勝を挙げた福井だが、2年目以降は勝ち星が激減。投手としての能力はメジャーで活躍した黒田博樹も一目置くほどで、2015年には9勝をマークして覚醒の兆しも見せたが、その後は制球難で結果が残せず、初のパ・リーグで期待された昨季も3勝どまりに終わっている。

 そして広島と言えば、ここ数年は毎年のようにブレイクの期待を裏切り続けているのが堂林翔太だ。中京大中京高では夏の甲子園で優勝し、プロ入り後は野手に転向した堂林は、プロ3年目の2012年に当時の野村謙二郎監督の大抜擢を受け、144試合フル出場を果たした。低反発球が使用されたシーズンにチーム最多の14本塁打をマークし、低迷が続いていた広島でニューヒーロー誕生と期待は高まったが、その年で両リーグワーストの150三振、29失策の弱点が克服できないシーズンが続いている。三塁のポジションから外野、一塁、二塁も守れるユーティリティーの選手にはなったが、肝心の打撃で結果を残せず、プロ10年目の昨季は自身が一軍定着後、ワーストとなる28試合出場に終わり、今季はいよいよ背水の陣の様相となっている。

 プロ野球界も新型コロナウイルス騒動の影響で開幕延期などの激震が走り、準備を進めてきた選手たちにとっては例年以上に厳しい1年になるかもしれないが、彼らにはネガティブなニュースを忘れさせてくれるくらいの大ブレイクを期待したい。