この試合から約6週間後の再戦となる11日の決勝。明大は準々決勝を欠場したSO山沢京平や副キャプテンのWTB山村、CTB森勇登が準決勝では復帰して、先発からリザーブまで早明戦と全く同じ23人が顔をそろえた。一方、早大は負傷で早明戦は欠場したフランカー相良昌彦とCTB中野が準決勝ではそろって活躍している。

 連覇を目指す明大のキャプテン武井は、スクラムの最前線でチームを引っ張る。U20日本代表に選ばれたことがあり、早明戦で2トライを挙げるなどボールを持って前に出る攻撃力もある。早大キャプテンのSH斎藤直人は2020年シーズンのサンウルブズに選出。準決勝でもタッチライン際からの難しいゴールを次々と成功するなど、ゴールキッカーとしての能力も高い。両チームともにFWとバックスのバランスが取れたチームで、司令塔の明大SO山沢、早大SO岸岡智樹は共に判断や試合の組み立てに秀でたキープレーヤーだ。

 2大会前までは9連覇の偉業を達成した帝京大が君臨していた大学選手権だが、大会全体の歴史を振り返れば、早大が最多15度の優勝(他校との両校優勝を含む)を誇り、明大はこれに続く13度の優勝(同)と、早明がリードしてきた。

 両校は1972年度の第9回大会から過去9回決勝で対戦し、ここまで明大の6勝3敗。直近の第33回大会では、松本幸雄キャプテン率いる明大が、後に母校の監督も務めた中竹竜二キャプテンが在籍していた早大の追い上げを突き放して32-22(25-6)で勝利。明大は前年5月に北島忠治監督が亡くなったことで喪章の代わりに黒襟のジャージーを着用して臨み、当時3年生だった田中澄憲監督がSHとして先発してトライも奪っている。

 大学選手権決勝が国立競技場で行われるのは、旧スタジアムの最後のシーズンだった2013年度の第50回大会以来。帝京大が41-34で早大を下し、5度目の優勝を果たした。帝京大はキャプテンの中村亮土をはじめ、ハーフ団の流大と松田力也、フッカー坂手淳志と昨年のワールドカップ日本代表に選ばれた4選手が出場。早大のFBは今年の東京オリンピック出場を目指すセブンズ(7人制)日本代表の藤田慶和だった。早大はこの時以来6大会ぶりの決勝進出となる。

 名門同士の対戦となった今年の決勝はどちらが制するのか。ラグビーが史上最高に盛り上がった昨年のワールドカップのような熱気を新しくなったばかりの新国立競技場でも期待したい。