そして実は砂糖を食べ過ぎると免疫力が低下する可能性があることが指摘されているのです。

 このことを調べたのは日本大学名誉教授で薬理学の研究者である田村豊幸博士です。田村博士は免疫力をつかさる代表的な細胞で、からだに侵入したウイルスや細菌を貪食(<どんしょく>食べて)する白血球の働きを調べる実験をおこないました。ドーナツやバナナスプリットなど数種類の菓子を食べた後、自身の白血球の平均喰菌能力を調べた結果 、砂糖の摂取前は白血球1個に対して細菌14個を貪食していたのが、摂取後は大幅に減って1個(バナナスプリット)になったことを著書『慢性・白砂糖の害 白砂糖が万病をつくる』(美健ガイド社)の中で報告しています。

 砂糖が多く含まれるのはやはりお菓子やジュース類です。特に炭酸飲料を含むジュース類はコーヒーや紅茶などと違って、砂糖の量を考えずに飲んでしまうことが多いので、嗜好(しこう)品として、たまに取るくらいにとどめたほうがいいでしょう。ペットボトル500ミリリットル中に多いもので40グラム以上(角砂糖1個4グラムとして約10個分以上)の砂糖が含まれています。

 なお、お菓子やジュースは食べたり、飲んだりする時間を決めること。また、飲食後はうがいをしたり、歯を磨く習慣をつけることで前出のグルカンは発生しにくくなります。

 また、注意したいのがのどあめです。ひどい歯周病の患者さんで、一日中、のどあめをなめるのが習慣になっているような方を複数、経験しています。

 このほか、3度の食事については、やはり、バランスよくなんでも食べることが大事です。ビタミンやミネラルは歯周組織の構成成分です。また、栄養が偏ると免疫力の低下にもつながります。

 歯周病は糖尿病などと同じ生活習慣病で、食や生活の乱れがそのまま、症状や病気の悪化につながります。たかが食事と侮らずに注意してほしいものです。

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若林健史

若林健史

若林健史(わかばやし・けんじ)。歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演。AERAdot.の連載をまとめた著書『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか?聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中。

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