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名将か愚将か…パ・リーグの監督を査定する!【2018年版】

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氏原英明dot.
西武を10年ぶりの優勝に導いた辻発彦監督 (c)朝日新聞社

西武を10年ぶりの優勝に導いた辻発彦監督 (c)朝日新聞社

【栗山英樹(日本ハム)】 評価:B

 下馬評を覆すAクラス入り。昨季は早々に若手を重用する采配に疑念も湧いたが、今季にうまく繋げた。長期政権だからこそというのもあるが、1シーズンで終わらせないチーム作りは見事と言うほかない。

 投手陣では上沢直之をエース格に育て上げた。球数を管理しつつ、5月16日の西武戦では制限を解除して完封勝利をアシストした。上沢が一皮むけるための先を見据えた采配だった。

 打線の方も、西川遥輝の序盤の不調、近藤健介の離脱などもあったが、若手・中堅をうまく併用しながらチームを勝利に導いた。クライマックスシリーズではファーストステージで敗退したものの、こちらでも先を見据えるなど、来季に期待を抱かせている。

【工藤公康(ソフトバンク)】 評価:A

 ケガや不調でベストメンバーを組めない中、2位に入ったのは流石の一言だ。
 
 リーグ連覇を狙った今季は、クローザーのサファテ、セットアッパーの岩崎翔が相次いで離脱。昨季の方程式が崩れたことは大きな痛手であるはずなのに、うまくチームを作り直した。千賀滉大、東浜巨、新戦力のミランダらがローテーションを形成すると、8勝を挙げていた石川柊太を8月上旬からリリーフに転向させ、クローザー・森唯斗までの形を確立した。

 打撃陣も、内川聖一やデスパイネが戦線離脱する中でも、調子の上がらない松田宣浩を4年ぶりにスタメンから外すなどの荒療治を行い、全体の底上げを図った。また、高田知季、牧原大成、西田哲朗らが戦力となり、ベテランの川島慶三、明石健志らと穴を埋め合った。

 さらに、工藤公康監督の評価を高めたのがポストシーズンの采配だった。先発では結果が出ていなかった武田翔太を“第2先発”に配して、ルーキーの高橋礼を適材適所で起用した。また今宮健太が日本シリーズから復帰すると西田と併用し、内川の使い方も巧みだった。
 
【辻発彦(西武)】 評価:A

 牧田和久、野上亮磨が移籍して投手力の薄さが危惧される中、圧倒的な攻撃力でペナントレースをぶっちぎった。一度も2位に転落することなく首位を走り続けたのは見事だった。

 おそらく、戦力バランスを考えてばかりであったら、これほどうまくはいかなかっただろう。辻発彦監督の采配が冴えていたのは、打撃力が前面に出るような攻め方をしていたことだ。

 初回からバントで送るような1点を取る野球ではなく、複数点を狙いに行く。盗塁数はリーグトップだが、それも選手個々の判断に任せて、時には盗塁を仕掛けないことを戦術の一つとした。

 開幕から1カ月後にエースの菊池雄星が離脱も、シーズン終盤を考えて無理させなかったのも大きい。捕手3人をうまく使い回し、栗山巧、中村剛也といったベテランがシーズン終盤に活躍できるよう、うまくマネジメントしたのも見事だった。目先だけを見るのではない采配が10年ぶりの優勝に導いた。
 
 クライマックスシリーズではファイナルステージで敗退したが、投手力の弱さが露呈した形だ。ペナントレースで大差をつけていたのが短期決戦でリセットされ、編成上の問題がウイークポイントとして出たと言える。

 このオフも菊池のメジャー移籍が決定的で、浅村栄斗が楽天に移籍するなど戦力ダウンは否めないが、来季もまた、編成を考慮に入れながら采配を振るうはずだ。
(文・氏原英明)

●プロフィール
氏原英明
1977年、サンパウロ生まれ奈良育ち。地方新聞社勤務を経て、03年からフリーライター。夏の甲子園は03年から大会をすべて観戦取材するなど、アマチュア野球に精通。現在のプロ野球選手のアマチュア時代を知る強さを生かし、プロの現場でも成長ぶりを追いかける。一方、最近では個性がどう生かされているかをプロアマを問わず観戦の主眼に置いている。近著には「甲子園という病」 (新潮新書)がある。


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