アーモンドアイの父ロードカナロアは香港スプリントを連覇するなど海外で活躍(写真:getty Images)
アーモンドアイの父ロードカナロアは香港スプリントを連覇するなど海外で活躍(写真:getty Images)

 日本から参戦した競走馬が海外のレースで苦戦を強いられている。

 現地10月7日にフランスのパリロンシャン競馬場で行われたG1凱旋門賞では、クリンチャーは19頭立ての17着と惨敗した。10月20日にはオーストラリアのG1コーフィールドカップでチェスナットコートが13着、ソールインパクトが14着に沈んだ。さらに、11月6日の豪G1メルボルンカップでもチェスナットコートは14着と見せ場を作れずに終わった。

 春には総勢10頭が4つのG1に望んだドバイの地で日本馬は、ドバイターフでのヴィブロスの2着が最高と未勝利に終わり、香港のクイーンエリザベス2世カップでもアルアインら2頭が力及ばなかった。夏にはフランスのG1ジャックルマロワ賞に挑むはずだったジェニアルがアクシデントで直前に出走回避する不運に見舞われた。日本馬の海外遠征は、今年に限って言えば実を結んだとは言い難い結果が続いている。

 だからといって、来年もそうとは限らない。まだ日本にも世界に通用するだろう強豪馬はいるはず。その筆頭になると多くの競馬ファンや関係者が期待を寄せているのが、今年の三冠牝馬アーモンドアイだ。

 デビュー戦こそ2着に敗れたアーモンドアイだが、その後は破竹の5連勝。桜花賞、オークス、そして秋華賞を総なめにした。今後は11月末のジャパンカップに出走予定だが、12月の香港国際競争にも登録したように、陣営は海外遠征に前向きな姿勢を見せている。実際に桜花賞を制した後、同馬を所有するシルクレーシングの米本昌史代表は「適鞍(勝てる見込みがあるレース)があれば」と海外挑戦の意向を示していた。

 ここで問題になるのは、アーモンドアイにとって「適鞍」とはどういったレースなのかということだろう。日本の競馬ファンにとっては海外挑戦といえば、凱旋門賞という図式にどうしてもなりがちだ。しかし、アーモンドアイにとってパリロンシャン競馬場の2400mが適鞍かと聞かれれば必ずしもそうとは言い切れない。どうしても、日本競馬史上でも屈指の名スプリンターだった父ロードカナロアの姿がちらつくためだ。

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凱旋門賞にこだわらなければ…