東洋大・上茶谷 (c)朝日新聞社
東洋大・上茶谷 (c)朝日新聞社

 今月25日に開かれるプロ野球ドラフト会議。今年も大阪桐蔭・根尾昂や金足農・吉田輝星をはじめ、球界の未来を担う逸材が揃っている。では、いったい各球団はどんな選手を獲得すればいいだろうか。野球ライターの西尾典文氏に過去の傾向も踏まえて、12球団の「おすすめ選手」を分析してもらった。今回は今季セ・リーグ2位となった東京ヤクルトスワローズだ。

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 球団ワースト記録となるシーズン96敗で最下位に沈んだ昨年から今年は2位に躍進したヤクルト。過去10年のドラフトを見てみると、即戦力の投手を中心に獲得しているが、外れ外れ1位で獲得した山田哲人の成功をきっかけに、ここ数年は野手の上位指名に踏み切るケースも増えてきている。

・過去10年支配下指名選手内訳
高校生投手:11人(主力:0人 戦力:5人)
高校生野手:10人(主力:2人 戦力:2人)
大学生・社会人投手:26人(主力:4人 戦力:10人)
大学生・社会人野手:13人(主力:1人 戦力:6人)

・過去10年上位指名選手内訳
高校生投手:3人(主力:0人 戦力:2人)
高校生野手:4人(主力:1人 戦力:0人)
大学生・社会人投手:12人(主力:2人 戦力:8人)
大学生・社会人野手:1人(主力:1人 戦力:0人)

・過去10年育成指名選手内訳
高校生投手:0人(主力:0人 戦力:0人)
高校生野手:2人(主力:0人 戦力:0人)
大学生・社会人投手:6人(主力:0人 戦力:1人)
大学生・社会人野手:3人(主力:0人 戦力:0人)

 野手は指名が多くないながらも山田、中村悠平、西浦直亨がレギュラーとなり、広岡大志、村上宗隆など今後が楽しみな若手も控えている。その一方で投手陣はある程度戦力にはなっているものの、今年も規定投球回数をクリアしたのは外国人のブキャナンのみ。先発のコマ不足はここ数年の課題である。チームの投手陣を支える存在として期待の大きかった高校卒の村中恭兵、増渕竜義、由規、赤川克紀、八木亮祐などが故障もあって伸び悩み、過去10年の指名選手でも安定した成績を残しているのは小川泰弘だけ。ようやく原樹理が先発に加わってきたものの、大黒柱になれそうな選手は圧倒的に不足している。昨年は思い切って野手の村上を1位で指名しただけに、今年はまず投手の大物を1位で獲得することに全力を注ぐべきだろう。また、高校卒の投手も不足しているだけに、素材型も積極的に狙いたい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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