ヤクルトは大学屈指の右腕獲得で「投手王国」への足掛かりを築け【西尾典文】 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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ヤクルトは大学屈指の右腕獲得で「投手王国」への足掛かりを築け【西尾典文】

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東洋大・上茶谷 (c)朝日新聞社

東洋大・上茶谷 (c)朝日新聞社

・ヤクルトおすすめ指名選手
1位:上茶谷大河(東洋大・投手)
2位:鈴木翔天(富士大・投手)or清水昇(国学院大・投手)
3位:引地秀一郎(倉敷商・投手)
4位:吉田叡生(中央大・外野手)
5位:中山瞬(創志学園・外野手)

 1位の上茶谷は大学屈指の実力を誇る先発タイプの右腕。最速150キロを超えるスピードがありながらも、それに頼らないピッチングができるというのが特長の実践派だ。ストレートと変わらない腕の振りから多彩な変化球を操り、厳しいコースで出し入れができるコントロールも高レベル。春のリーグ戦ではリーグ新記録となる1試合20奪三振もマークしたが、この試合は審判のストライクゾーンの特徴をうまく利用した結果のものだった。春の最後に三連投したことから少し調子を落としたことで登板過多を心配する声もあるが、昨年までの3年間ではリーグ戦での登板はわずか7試合であり、積み重ねてきた疲労があるわけではない。3年秋から4年春にかけて急激にスピードアップしたように、最終学年で飛躍したというのもプラス材料だ。長いイニングを組み立てる投球術も兼ね備えており、1年目から即戦力として期待できるだろう。

 2位では阪神編でも取り上げた鈴木が残っていれば狙いたいが、ウェーバー順を考えると難しい可能性が高い。鈴木が残っていない時の次候補として清水を挙げた。上茶谷ほどの圧倒するピッチングを見せるわけではないが、欠点の少ないフォームが光る本格派右腕で、コンスタントに145キロを超えるストレートをコーナーに集めるピッチングには安定感がある。今年の春は東都大学リーグで上茶谷を上回り最優秀防御率に輝くなど、その実力は申し分ない。プロで主戦として活躍するにはもう少し緻密さか必殺の変化球を磨く必要はあるように見えるが、目立って悪いところがないため、1年目からもある程度戦力として計算できるだろう。上茶谷のともに獲得できれば、同じリーグでしのぎを削った二人の相乗効果も期待できる。

 3位の引地は、完全に素材型の高校生右腕。昨年秋から150キロ近いスピードをマークして評判となっていたが、上半身が強いフォームでまだまだ粗削りな印象は否めない。最後の夏も来年のドラフト1位候補である西純矢(創志学園2年)に投げ負けている。課題はスピードが数字ほど打者の脅威になっていないところ。フォームが単調で、タイミングがとりやすいのがその原因だ。ただ、意外と器用で変化球でもカウントをとることができ、春から夏にかけてはかなり安定感がアップしていた。課題は少なくないが、同じタイプの梅野雄吾が2年目の今年は中継ぎとして戦力となっただけに、その流れに続く存在として狙いたい。

 野手は青木、雄平、バレンティン、坂口智隆などベテランが主力で若手のレギュラー候補が少ない外野手を補強したい。リードオフマンタイプはそれなりにいるため、吉田、中山と打撃が魅力の選手を二人選出した。吉田は春のリーグ戦で4割を超える打率をマークした左の強打者。もともとミート力は高かったが、今年はスイングが明らかに力強くなり長打力もアップし、ドラフト1位候補の甲斐野央(東洋大)からも一発を放っている。雄平の後釜タイプとして期待できる選手だ。中山は強靭なリストが光る右の強打者。無駄な動きの少ないスイングでミート力が高く、投手として140キロを超えるスピードを誇る強肩も持ち味だ。二人ともチームに少ないタイプだけにぜひ狙いたい選手である。

 3年前の優勝、今シーズンの2位はともに打線が機能した部分が大きく、投手陣の整備は長年の課題である。ベテランと外国人に頼ることなく、先発もリリーフも長く柱となれるような選手を積極的に狙い、野村克也監督時代の「投手王国復権」の足掛かりとしたい。

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。


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