持論を展開する石破茂・元幹事長(撮影/西岡千史)
持論を展開する石破茂・元幹事長(撮影/西岡千史)
石破氏に質問をする小林美希氏(撮影/西岡千史)
石破氏に質問をする小林美希氏(撮影/西岡千史)

 自民党総裁選が7日告示され、3選を目指す総裁の安倍晋三首相(63)と、石破茂・元党幹事長が立候補を届け出た。20日の投開票に向け、一騎打ちの戦いが繰り広げられる。

【写真】石破氏に直球質問をする小林美希さん

 一方、初の女性総理を目指す野田聖子総務相(58)や「ハト派」を自認する岸田文雄・党政調会長(61)は立候補を断念。これにより、政策論争の幅が狭くなるのではとの懸念も残る。

 そこで告示2日前の5日、『ルポ 保育格差』(岩波新書)などの著書があるジャーナリストの小林美希氏が、保育士の処遇改善、待機児童、女性政策などについて石破氏に直球勝負で論戦を挑んだ。総理を目指す石破氏の答えとは──。

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小林:安倍政権では「女性活躍」「待機児童解消」が目玉政策となりました。石破さんの女性政策にキャッチフレーズはありますか?

石破:「女性に“本当にこの国に生まれてよかった”と思ってもらえる社会を作る」ということ。政治は手品でも魔法でもないからいっぺんに解決できませんが、「政治が私たちのこと分かってくれる」と思ってもらえるようにしたい。何かに困っている女性が、「政治が私たちの味方になってくれる。政治家が、少なくとも、私たちの話をちゃんと聞いてくれる」と実感してもらえるようにしたい。

小林:女性の半数以上が非正規雇用という状況が続いています。妊娠すると雇い止めに遭うようなマタハラも多発している。妊娠、出産、育児、介護などのライフイベントにより、いやおうなく女性が仕事を辞めざるを得ない現状があります。

石破:女性の率直な意見がきちんと政策に反映される仕組みが必要です。どうしても男性には限界がある。政策立案の場にもっと女性を登用しなければいけません。

小林:育児介護休業法が改正され2017年1月からは、非正規雇用の法適用の要件が緩和され、労働契約が続くかどうかあいまいでも育休が取得できるようになりました。にもかかわらず、非正規雇用では事実上、育児休業が取得できない状況は変わっていません。おおよその育休取得者数を知るには、育児休業給付金の初回受給者数をみるのですが、直近でも年間に約30万人が育休を取るなかで、うち期間の定めのある労働者はわずか1万人程度しかいません。

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小林美希

小林美希

小林美希(こばやし・みき)/1975年茨城県生まれ。神戸大法学部卒業後、株式新聞社、毎日新聞社『エコノミスト』編集部記者を経て、2007年からフリーのジャーナリスト。13年、「『子供を産ませない社会』の構造とマタニティハラスメントに関する一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞受賞。近著に『ルポ 中年フリーター 「働けない働き盛り」の貧困』(NHK出版新書)、『ルポ 保育格差』(岩波新書)

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