石破:非正規労働者がどうしたら育休が取れるのかという議論をしているうちに、時間だけが過ぎていく。それは許されないことです。私が総理になったら、「非正規労働者が望めば全員が育休を取得できる法律を作る」と宣言します。政府が言い切ることで、それは叶う。女性が自分の能力をめいっぱい発揮できる社会を作らなければ、この国は、たちゆかなくなります。これは、待ったなしの問題です。

 労働力人口が減るなかで、「女性の活躍」と「出生率の上昇」の二つを両立させる。これは大きな課題ですが、都道府県別に見ていくと、子育てしながらの女性就業率が高い地域もあります。そうした自治体の施策を参考にして全国で普遍化して実現していきたい。

小林:女性が働きながら子育てをするには、保育政策がますます重要です。安倍政権の待機児童対策で2013年4月に「待機児童解消加速化プラン」が策定され、17年度末までに50万人分の保育の受け皿を確保すると表明するなど、急ピッチで保育所が作られた。一方で、たしかに保育施設は増えましたが、保育士不足に陥ってしまい、肝心の人材育成が追い付いていません。人手不足、経験不足で保育士に余裕がなくなり、保育士が子どもに暴言を吐く、思う通りにいかないと子どもにきつく当たるなど、保育の質の低下も問題になっています。

石破:一部に「質」より「量」が大事だという主張があり、急ピッチで保育所が作られています。だから、小林さんが著書などを通して指摘するような質の低下を招いてします。「せんせい、やさしくない」という思いを子どもたちにさせることがあってはなりません。子どもがそう思わなくてすむような環境を作ることは政治の義務です。実際に親や保育士が何を望み、何を悩んでいるのか。もっと目を向けたい。

 過酷な労働を強いられるのでは、保育士によっては、子どもたちへの愛情をどこかに置き忘れてしまうこともあるでしょう。仕事に見合う賃金水準でなければ、保育士を辞めて他の職業に流れてしまっても仕方のないこと。フルタイムで働く保育士の処遇をあげることは、理屈抜きで行います。

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保育士の処遇は小中学校の教師と同じに