ストレスを受けることによって出現するサインは、「メンタル」「フィジカル」「パフォーマンス」の3つに大別される。

メンタル:不安、いらいら、焦り、悲しみ、落ち込み、抑うつ、無気力、集中力の低下、意欲の低下
フィジカル:不眠(寝付けない・夜中に目覚める・早朝に目覚める)、食欲不振(吐き気・腹痛・下痢・便秘)、頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、動悸、月経異常
パフォーマンス:ミス・事故の増加、能率の低下、対人関係の回避、対人関係のトラブル、勤怠の乱れ(遅刻・早退・欠勤、残業・休日出勤増加)、飲酒量・喫煙量の増加、服装の乱れ、ギャンブル依存、失踪

「メンタルヘルス不調は、ストレスによって社会生活などに影響を及ぼす諸問題を幅広く含むと、厚生労働省の指針で定義づけられています。つまりメンタルヘルス不調だからといって、メンタル面だけに注意を払えばよいというものではありません」(小橋氏)。実際に入社や異動して間もない社員の中には、ある週は風邪を引いた、次の週には下痢になった、その次の週には口内炎ができたと、短期間にいろいろな体の症状を小橋氏に訴えてくるケースもよくあるという。

「まさか種々の症状がストレスから引き起こされていたのかと驚く方は意外に多い。気づかないうちに自然によくなることもありますが、一方でこういったサインを放置することで徐々に症状が悪化し、遂には重度の精神疾患や脳心臓疾患など、命に関わるような事態に陥ることもあります」(小橋氏)。小橋氏の私見だが、先に述べたストレスのサインが2~3日程度で回復するなら「ストレス注意報」、週の休みを挟まないと回復しないなら「ストレス警報」、休みを挟んでも回復しないなら「ストレス特別警報」に該当するという。「早めに体調の異変に気づき、産業保健スタッフなどへ相談することが重症化予防には大切です。人によって出てくるサインは様々なので、自分にはどんなサインが出やすいのか普段から気にかけましょう」

 新入・若手社員のメンタルヘルス不調に対して適切に対応するため、上司はどうすればよいのだろうか。

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