この時期、山崎さんが重視したのは、駿台の東大入試実戦模試だった。全国のライバルが一斉に臨むこの模試では、自分の立ち位置を客観的に把握することができた。なかでも試験結果の「コンピューター分析(個人成績表)」をとことん読み込んだという。

「教科別に弱点を教えてくれるので、効率よく勉強できました」

 合格に欠かせない過去問題分析も、駿台の長年の実績を信じた。

「最後は残り時間との闘い。あれこれ手をつけるわけにはいかないので、駿台の先生方の教えを信じて集中して勉強しました」

 そして東大に現役で合格。それは、2010年にスペースシャトルに乗って宇宙へ飛び立つ日までつながる、夢をかなえるための第一歩だった。

 現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職し、内閣府の宇宙政策委員会の委員などを務める。そのかたわら、全国の小中高校や大学に出向き、「宇宙教育」の授業を展開している。

「若い時期は、誰と出会い、どこで学んだかで人生が変わることがあります。駿台にはそんなすてきな出会いがたくさんありました。私も誰かにとっての『出会えてよかった人』でありたい。だからこそ、日々変化する科学技術に真剣に向き合い、いまも学び続けています」

(文・神 素子)