日本中のお母さんはワンオペだと思う。だってお父さんが会社を休ませてもらえないんだもん。それに、日本はものすごい母親を責め立てるから、日本のお母さんは辛いですよ。こうしなきゃいけないって圧力が強すぎる。

 子育てで私が1番腹が立ったのは食育。最初にやめたのは、手作りの離乳食ですね。うどんと豆腐と餃子の中身とコロッケの中身とバナナでしのぎましたよ。ラーメンはお湯で麺をゆすいであげると、すんげー食べた(笑)。そういうことをマンガ(「毎日かあさん」)に描いたらみんなから「うれしいです」って声が届きました。

 だって世界中に旅行に行ったけど、こんなに食を神聖視して、神経質に母親を攻め立てている国はないですよ。「外食だと子どもがダメになる」って言いますけど、韓国も香港もみんな外食なんだけど、学力は日本より高いですから。東南アジアは大概外食で、しかも安い。みんなが憧れるヨーロッパのドイツは台所で火を使わないことで有名で、パンとチーズを切るだけだから台所はすごくきれい。

■家事してる間、子どもはどうしてるの?

 子どもを育てて仕事してると、前の日の食器を洗うところからスタートしなきゃいけないのに、味噌汁を作れ、どうして米を炊かないんだと異様に厳しいじゃないですか。1日30品目だの一汁何菜だの……。離乳食を作るためにお買い物から調理、後片付けまで入れたら、子どもはその間、何をしてるの? とにかく手作りのものが素晴らしいという風潮を抹殺したかった。

 うちの長男なんか赤ちゃんのころ夜泣きが激しくて、おかしいなと思っていたら単にお腹が減ってたってこともありました。なんだ、もっとガッツリしたものが食べたかったのね、って。マニュアル本や赤ちゃんには絶対こうしてあげなきゃいけないという圧力がいかに母親を苦しめているか。

 とにかく、スーパーのお惣菜でいいって! 冷凍庫に入れといてチンすりゃいいんだから。それでお母さんが怒らなくていいならそれが1番いいんですよ。そこから始めようよ。私なんか、自分で料理をするようになったのは、子どもが中学校になったぐらいから。だって手が空かないのに、料理なんかできるわけないじゃん。その手は仕事をしないといけないんだから。

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「子どものため」という呪縛