「一昨年から、診療参加型の臨床実習時間を世界水準まで増やした新カリキュラムを始めました。日本の医学教育レベルが世界水準を満たしていることを証明するために設立された日本医学教育評価機構(JACME)の医学教育分野別評価を、今年の6月に九州の医学部としては最初に受審しました」

 河野嘉文医学部長が、そう胸を張る。同大では、09年から医学教育カリキュラムの改革を検討し、改善にいち早く取り組んでいたという。

「鹿児島には離島があるため、南北600キロの広大な地域の医療と保健活動を担う医師育成の『地域医療プログラム』をさまざまな学年で取り入れています。6年の『離島・地域医療実習』は必修で、期間は1週間から4週間の間で選べます。地域の医療現場で患者・社会の多様性を理解し、社会のニーズに応える医療を学ぶコミュニティー基盤型教育は、国際的に大変重要視されています」(河野医学部長)

 離島へき地医療人育成センターでは、鹿児島大の学生だけではなく、全国の医学生、離島医療を志す医師に対して実習や研修を行っている。

 リハビリテーション医学、温泉治療学にも定評がある。1988年に国立大初のリハビリテーション医学講座が開設され、リハビリテーション専門医を育成している。片まひ回復のための運動療法などを行う「霧島リハビリテーションセンター」で、学生は2週間実習する。

 歴史と伝統ある医学部が多い九州からの「変革」は、始まったばかりだ。

(文/庄村敦子)

※週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』から抜粋