高校から大学まで、九州「医の道」マップ。大学名に付く数字は偏差値で駿台予備学校提供、高校に付く数字は2017年国公立大医学部合格者数で大学通信提供(地図製作/ワークスプレス)
高校から大学まで、九州「医の道」マップ。大学名に付く数字は偏差値で駿台予備学校提供、高校に付く数字は2017年国公立大医学部合格者数で大学通信提供(地図製作/ワークスプレス)

 医学部「熱」を帯びる九州・沖縄地方。医学部を持つ大学数は11で、うち8大学が国立大だ。週刊朝日ムック「医学部に入る 2018」では、これら九州の国立大を取材。ここでは、本大と鹿児島大の取り組みを紹介する。

【表】医学部に強い九州の高校はこちら

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■卒業生の3分の2が定着 熊本大

 旧六医大のひとつである熊本大は、1871(明治4)年にできた官立の医学校が始まりだ。新設医大ができるまで、九大、長崎大、鹿児島大とともに、佐賀、大分、宮崎の関連病院に医師を派遣していた。

「本学の学生は、熊本出身者が約4割、熊本以外の九州出身者と九州以外の出身者がほぼ同数で約3割ずつです。熊本は政令指定都市で住みやすく、新幹線でも通えて交通の便もいいため、熊本を気に入る学生が多く、卒業生の約3分の2は熊本に残りますね」(尾池雄一医学科長)

 著名な卒業生には、水俣病研究の第一人者・原田正純医師、世界で初めてエイズ治療薬を開発した満屋裕明博士らがいる。

「エイズの研究が世界的に知られているため、入試の面接では多くの受験生が『エイズの研究』の話をしますが、健康寿命の延伸を図るための研究にも、力を入れています」(同)

 昨年設立した『健康長寿基盤研究センター』では、代謝・循環、がん、神経科学の3領域から研究を推進している。

 18年入試から熊本大はセンター試験の生物が「必須」から「選択」へと科目変更になる。

「高校時代に生物を学んでほしいとの思いで生物必須でしたが、物理と化学選択の成績優秀な生徒にも入学してほしいと考え、総合的に判断して変更しました」(同)

 九大の科目変更同様に、この判断が熊本大への志望動向を大きく変える可能性がある。受験生にとって吉と出るのか、いずれにせよハイレベルな争いになりそうだ。

■鹿児島大はイギリス流の医学教育がルーツ

 鹿児島大医学部は、1869(明治2)年、西郷隆盛や大久保利通らによって鹿児島に招聘されたイギリス人医師ウイリアム・ウイリスを校長として設立された西洋医学校がルーツ。実質的な前身は1943年に設立された県立鹿児島医学専門学校だ。

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