先日の対オーストラリア戦ではキャプテンとしてフル出場、日本を2018年W杯へと導いた長谷部誠。『アエラスタイルマガジン36号』(朝日新聞出版)で語った、日本サッカー界のリーダーが見据える世界と自身の未来について、その一部を特別に紹介する。
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長谷部は、長らくユニセフ国内大使を務めている。2011年東日本大震災直後に上梓した『心を整える。』は、現在140万部を超える大ベストセラーなのだが、長谷部は、この印税をすべて東日本大震災支援のために日本ユニセフに寄付。宮城県南三陸町の「あさひ幼稚園」では、東日本大震災以降、毎年訪れ、園児たちとの交流を続けている。さらには、自身のホームページでメンバーを募り、会費で世界の厳しい環境で生きる子どもたちへの支援も行っている。
長谷部はこう考えている。
「自分は好きなサッカーを仕事にできて、いろいろな人に支えられて、本当に恵まれている。この幸せは、やっぱり返していかなきゃ、分けていかなきゃという思いがあるんです。社会貢献には正解はないと思う。何がよくて何が悪いのか。結局、自分の立場だからできることをやればいいと思うし、それによって僕を応援してくださる方とかが何かまた感じてくれれば
いいな、と思うんです」
まだケガが完全に癒えていない5月末、長谷部は、「はしかワクチン」の支援として、エチオピアに入国した。首都アディスアベバから150キロ離れた村までワクチンが運ばれる仕組みを視察した。
「衛生的にも問題のあるところに現役の選手が行くのはどうかと、周りの人はいろいろ気を遣ってくれたんです。でも、僕は行きたいと思ったし、ユニセフさんのサポートもあって、実際行ったことによって得られるものがあった」
限られた時間のなか、今春からはさらに「マコト・ハセベ・スポーツ・クラブ」を藤枝市と浜松市で開校。小中学生を対象に「人間性の優れた大人、世界で活躍できる子ども」の育成を始めた。