萩生田氏の発言の中で「0歳からパパというのは変わっている」という発言があるが、実際に「変わっている」と思う。男性の育休取得率も上がらない中では無理もないこと。言い方を変えれば「0歳からパパと言ってもらえるような環境を作れる人は少ない」ということではないか。もちろん、その発言の前に「ママがいいに決まっている」という言葉があるからそうポジティブにはとらえにくいが……。
でもこの「ママがいい」発言だって、実際のところ今の子育て世代といわれる20代から40代でもそう思っている人が多いと感じる。僕たちのような子育てパパが多く集まる環境で活動をしていると、男性の育児はまるで当たり前のように思えるかもしれないけど、実際は違う。もし本当に当たり前なのであれば、育休取得率は少なくとも過半数を超えるだろうし、小学校の「親父の会」的なコミュニティも参加率が高くなるはず。でも実際は違う。いわばマイノリティーなのだ。そのマイノリティーがマジョリティーの意見に対して腹を立てて批判しても、マジョリティーは別にゆるがない。だからこそ、ほんの数日経って、SNSでも男性の育児に関する投稿を見かけることは極端に減った。
そう言うと、「萩生田氏を擁護している」と感じるだろうか。そうじゃない。僕が考えているのは、少なくとも今、男性の育児に対する注目度が上がっている中で、僕らができることはなんだろう?ということだ。批判をすることが建設的な行動だとは思えない。僕ら、主夫の友はメディアで取り上げてもらうたびに批判を浴びてきた。もちろん肯定的な意見や応援メッセージもたくさんあるが、記事の中にちゃんと書いてある内容についてもスルーして批判されることも多い。
だからといって、そこに戦うのではなく、自分たちの今社会の中で置かれた位置を知るための目安だと思えば、批判を書いた人たちにも腹は立たない。批判した人には批判した人なりの価値観があるし、思いもあるし、立場もある。育った環境も違う。その価値観を戦い合わせていては何も進まない。僕らは僕らの生き方で自信を持ってやって、相手と比べないスタンスを崩さなければ、批判が減ってくることは、4年間の活動で実感している。それによってメンバーは前向きに活動を続けることができ、共感して参加する人たちが穏やかに増え続けていけばいいのだと思う。
だからこそ! 今は、言葉狩りともとれるような批判を展開するのではなく、注目を浴びているこのタイミングで自信を持って男の育児が迷惑じゃない姿を見せることで世論がもっと変わっていくのではないだろうか。(文/秘密結社 主夫の友」杉山ジョージ)