もし、撮影してもいいかどうか判断に迷ってしまったら、「店や施設のスタッフに聞くのが確実」と三平弁護士(※写真はイメージ)
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 カメラを持って街に出ると、さまざまなシャッターチャンスにあふれている。しかし、レンズの先にある被写体や街の風景は、撮影しても法的に問題ないのだろうか? 「撮影禁止」という表示は守らなくてはいけないのだろうか? アサヒカメラ特別編集『写真好きのための法律&マナー』から、改めて街中で写真を撮ることについて解説する。

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「わ~、おいしそう!」

 雰囲気のいいレストランで料理が運ばれてきた際、思わず歓声があがる。そして、その料理を味わう前にスマートフォンを取り出して、“記念撮影会”が始まるのは、もはや日常的な光景だろう。

 この場合、料理を撮影しても問題ないのだろうか?

<自分が注文してお金を払うのだから問題ない>
<撮影してもいいかどうかはお店の人に確認すべき>
<いいタイミングで料理を出しているのに、写真を撮っている間に料理が冷めてしまってはシェフに失礼だ>
<周囲の客に迷惑だから、撮影は控えるべき>
<料理のレシピに著作権はないと聞いたことがあるから撮っても構わない>
<撮影した写真をSNSで拡散すれば、むしろ店の宣伝になる>

 レストラン内での料理撮影を例にとっても、これだけの賛否両論が巻き起こり、時にはネット上で話題になるほどだ。どれも一理ありそうで、「これが正しい」と一つに絞り込むのは困難だろう。ましてや、街中での撮影に目を向けてみると、さまざまな場面で判断に迷うことが多いのではないだろうか?

 そこで今回は弁護士の見解も交えつつ、写真撮影の可否や注意すべき点について考えてみたい。

 まずは屋内外を問わず、街中で撮影した際、法的に問題が生じることはあるのか?

「一般論として、撮影してもいいかどうかは、その場所を管理する人が撮影を承諾するかどうかによります。レストランや店舗、商業施設、美術館、神社仏閣など、それぞれの所有者や運営組織が、その中でのルールを任意に決めることができます。また、公道での撮影は基本的には問題ありません。公道を管理しているのは国土交通省や地方自治体になりますが、公道は広い意味で国民の共有財産と言えますし、一方的に禁止することはできないでしょう」

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